太陽光発電に欠かせないパワーコンディショナに関して「どんな機器で価格はいくらなの?」「交換時期はいつ?」などの疑問を持っていませんか?
パワーコンディショナは、太陽光発電の電気を自宅で使用するための重要な機器です。しかしパワーコンディショナについての価格や役割、交換時期などについては知らない人が多いかもしれません。
今回の記事は、パワーコンディショナについて以下の内容を解説します。
- パワーコンディショナの基本と役割
- メーカー別のパワーコンディショナ価格相場
- パワーコンディショナの寿命と交換時期
- パワーコンディショナを交換するメリット・デメリット
- パワーコンディショナは自分で交換しないほうが良い理由
- パワーコンディショナの不具合を早期発見する方法
本記事を読めばパワーコンディショナについての理解が深まり、より長くお得に使える可能性があるため参考にしてみてください。
パワーコンディショナとは?
パワーコンディショナは「パワコン」とも呼ばれ、太陽光発電の電気を自宅で使用できるようにするための機器です。また太陽光発電の電気を最大限に活用できるようにするなどの役割も持っています。この章ではパワーコンディショナの基本である以下の4つの役割について解説します。
- 発電した電気を変換する
- 発電量を最大化する
- 系統連系の保護
- 停電対策
それぞれ解説します。
発電した電気を変換する
パワーコンディショナは、太陽光で発電した電気を自宅で使用できるように変換してくれます。普段、自宅の家電製品などに使用される電気は電力会社から送電される「交流電力」を使用しています。一方、太陽光で発電された電気は「直流電力」なので、そのままでは家電製品に使用することができません。この直流電力をパワーコンディショナを通して交流電力に変換することで、自宅でも太陽光から発電した電気を使用することができます。
発電量を最大化する
パワーコンディショナは、太陽光発電のデメリットでもある発電量の不安定さを解消してくれます。太陽光発電は天候や日照時間によって発電量が変化するため、常に安定した電気を供給できるとは限りません。しかしパワーコンディショナに搭載されている「MPPT(最大電力点追従制御)」という機能によって、常に安定した電力を供給できるようになっています。MPPTは変化する天候や日照時間を考慮して、発電量が最大になる「最大出力点」を自動で見つけ出して制御してくれます。
系統連系の保護
パワーコンディショナは系統連系保護機能があるため、電力関連のトラブルがあった場合でも安心です。系統連系とは太陽光発電の余剰電力を売電したり電力会社から電気を自宅へ供給したりする場合に、電力会社の電力系統(近くの電線など)に接続する仕組みのことです。系統連系保護機能がなければ何かしらのトラブルがあった際に、系統連系に影響が及んでしまい周囲の家や家電製品などに悪い影響を与えかねません。周波数の上昇や低下、電圧不足、過電圧などの異常を検知した場合に、パワーコンディショナが太陽光発電と系統連系の接続を遮断してくれます。そのため系統連系保護機能があれば、電力関連のトラブルから周囲の家や電化製品などを守ってくれます。
停電対策
停電対策として重宝するのもパワーコンディショナの特徴です。パワーコンディショナには「自立運転機能」が付いている機器があります。自立運転機能は停電時でもパワーコンディショナを通じて、太陽光発電の電気を1500W/100Vの範囲で使用できます。自立運転機能がないパワーコンディショナの場合は、太陽光で発電はできても停電時に電気を使えません。消費電力の多い家電製品は使用できないものの、自立運転機能付きのパワーコンディショナは停電時に電気が使える心強い味方といえるでしょう。
【メーカー別】パワーコンディショナの価格相場
パワーコンディショナは各メーカーが販売しているため価格相場が異なります。今回はイカのメーカーの価格相場を紹介します。
- パナソニック
- シャープ
- 三菱電機
- オムロン
- 安川電機
- ダイヤゼブラ(田淵電機)
- ファーウェイ(WUAWEI)
パナソニック
パナソニックのパワーコンディショナの価格相場は以下のとおりです。
型番 | 出力 | 変換効率 | 回路 | サイズ/重量 | 希望小売価格(税込) | |
屋内用 | VBPC255NC2 | 5.5kW | 96.5% | 1 | 550×270×190mm/17kg | 519,200円 |
VBPC240NC2 | 4.0kW | 382,800円 | ||||
VBPC230NC2 | 3.0kW | 316,800円 | ||||
屋外用 | VBPC255GS2T | 5.5kW | 96.0% | 4 | 405×478×211mm/20kg | 629,200円 |
VBPC255GS2 | 556,600円 | |||||
VBPC255GS2S | 581,900円 | |||||
屋内・屋外兼用 | VBPC255GM1R | 5.5kW | 96.5% | 4 | 706mm×407mm×214mm/25㎏ | 500,500円 |
※参照:Panasonic
シャープ
シャープのパワーコンディショナの価格相場は以下のとおりです。
型番 | 出力 | 変換効率 | 回路 | サイズ/重量 | 希望小売価格(税込) | |
屋内用 | JH-55KF4B | 5.5kW | 96.5% | 4 | 666×201×429mm/27kg | 545,600円 |
屋内・屋外兼用 | JH-55NF3 | 5.5kW | 97.0%/96.5% | 3 | 505×194×347mm/22kg | 508,200円 |
JH-40NF2 | 4.0kW | 96.0% | 2 | 505×194×347mm/21kg | 419,100円 |
※参照:SHARP
オムロン
オムロンのパワーコンディショナの価格相場は以下のとおりです。
型番 | 出力 | 変換効率 | 回路 | サイズ/重量 | 希望小売価格(税込) | |
屋内用 | KPK-A30 | 3.0kW | 96.0% | 1 | 460×280×155mm/約15kg | 記載なし |
KPK-A40 | 4.0kW | |||||
KPK-A55 | 5.5kW | 95.5% | 550×280×171mm/約18kg | |||
屋外用(KPW-A-2シリーズ) | KPW-A55-2PJ4 | 5.5kW | 96.0% | 4 | 450×484×232mm/約20kg | |
KPW-A55-2J4 | ||||||
KPW-A55-2PJ4-M | ||||||
KPW-A55-2J4-M | ||||||
KPW-A55-2SPJ4 | ||||||
KPW-A55-2SJ4 | ||||||
KPW-A55-2SPJ4-M | ||||||
KPW-A55-2SJ4-M |
※参照:OMRON
安川電機
安川電機のパワーコンディショナの価格相場は以下のとおりです。
型番 | 出力 | 変換効率 | 回路 | サイズ/重量 | 希望小売価格(税込) | |
屋外・屋内用 | CEPT-P3AA2025B(自立運転機能なし) | 25kW | 96.0% | 8 | 875×525×300mm/約55kg | オープン価格 |
CEPT-P3AB2025B(自立運転機能あり) | 875×525×300mm/約57kg | |||||
CEPT-P2AA2010 | 10 kW | 93.5 % ~94.0 % | 7 | 600×540×310mm/約59 kg | ||
CEPT-P2AA29P9 | 9.4 kW | |||||
CEPT-P2HA29P9 | 600×540×310mm/約61 kg |
※参照:安川電機
ダイヤゼブラ(田淵電機)
ダイヤゼブラのパワーコンディショナの価格相場は以下のとおりです。
型番 | 出力 | 変換効率 | 回路 | サイズ/重量 | 希望小売価格(税込) | |
屋外用 | EHF-S55MP3B | 5.5kW | 96.0% | 3 | 445×698×198mm/30kg | オープン価格 |
EHF-S80MP4B | 8.0kW | 4 | 445×698×198mm/33kg | |||
EHF-S99MP5B | 9.9kW | 5 |
※参照:Enetelus
ファーウェイ(HUAWEI)
ファーウェイのパワーコンディショナの価格相場は以下のとおりです。
型番 | 出力 | 変換効率 | 回路 | サイズ/重量 | 希望小売価格(税込) | |
屋外用 | SUN2000-20KTL-M3 | 20kW | 97.1%/97.6% | 4 | 681×530×270mm/43kg | 記載なし |
SUN2000-4.95KTL-NHL2 | 49.5kW | 97.0%/97.5% | 2 | 365×365×156mm/11.6 kg |
※参照:HUAWEI
パワーコンディショナの寿命と交換時期
パワーコンディショナの寿命は一般的に10〜15年ほどと言われています。例えばパナソニックではパワーコンディショナの保証期間は15年です。これはメーカー側がパワーコンディショナは15年ほど使用できると想定しているからだと考えられます。ただしパワーコンディショナは精密な電子機器なので、設置から10年もすれば不具合や故障が発生する可能性は高くなるでしょう。それくらいの時期に点検を行ってみて、必要であればパワーコンディショナの修理や交換をすることになるでしょう。
パワーコンディショナを交換するデメリット
パワーコンディショナを交換する場合のデメリットは以下のとおりです。
- 交換費用がかかる
- 周辺機器との相性が合わない可能性がある
それぞれ解説します。
交換費用がかかる
パワーコンディショナの交換費用は平均で約22万円(※)必要が相場とされています。パワーコンディショナの種類によって交換費用は上下するものの、平均よりも高額な費用を提示された場合は、他の業者とも比較できる相見積もりをしてから判断しましょう。またパワーコンディショナの交換にともない古い周辺機器の交換も必要になる可能性があるため、その分の費用もかかる可能性があります。保証期間内であれば無償または安く交換できる場合があるため、販売元やメーカーに問い合わせてみてください。
※参照:経済産業省
周辺機器との相性が合わない可能性がある
以前のメーカーとは異なるパワーコンディショナへ交換することにより、太陽光発電や蓄電池、HEMSといった周辺機器との相性が合わなくなる可能性があります。望ましいのはパワーコンディショナと周辺機器が同メーカーであることです。メーカー側は自社メーカー同士の機器で最適化するように設計しているため、他メーカーでは十分な性能を発揮できなかったり故障の原因になったりする可能性があります。交換する際はパワーコンディショナと周辺機器との相性も考慮しておきましょう。
パワーコンディショナを交換しないままだと?
パワーコンディショナを交換しないままで使用し続けると、以下のようなトラブルが発生しやすくなります。
- 変換効率や発電量が低下する
- 停電などのトラブル
変換効率や発電量が低下する
パワーコンディショナを交換せずに使用し続けると、経年劣化が進んでしまい変換効率や太陽光発電の発電量、売電収入などの低下につながります。太陽光発電などのメリットが十分に受けられなくなってしまうでしょう。また経年劣化により修理の回数がかさむと費用の増加にもつながり、結果的には交換しておいたほうが良いという場合もあります。パワーコンディショナの寿命が近くなってきたら発電量などをチェックして、販売店やメーカーに相談すると良いでしょう。
停電などのトラブルが起きやすくなる
パワーコンディショナの経年劣化が進むと、出力の低下による停電といったトラブルが起きやすくなる可能性があります。また最悪の場合は、取り付け時の施工不良に気付かないまま火災などの大きなトラブルになることもあります。だからこそ定期的なメンテナンスを最低限行うことやパワーコンディショナの寿命を意識することは、事前にトラブルを防ぐために必要だといえるでしょう。
パワーコンディショナを交換するメリット
パワーコンディショナを交換するメリットは以下のとおりです。
- 費用対効果が高くなる可能性がある
- 最新モデルの恩恵を受けられる
- 保証期間が長くなる
それぞれが解説します。
費用対効果が高くなる可能性がある
パワーコンディショナを交換することで、長い目でみれば費用対効果が高くなる可能性があります。寿命が近いパワーコンディショナだと、経年劣化による部品交換などの修理の回数が増えることが予想されます。さらに、そのまま修理して使い続けても保証期間がなくなり、費用がかさんでしまうばかりでしょう。また寿命が近いパワーコンディショナは古いため、交換する部品自体が調達できないかもしれません。そのため交換してしまったほうが結果的に安くなる可能性が高いといえます。
最新モデルの恩恵を受けられる
パワーコンディショナを交換すれば、旧型よりも変換効率などの性能が上がっている最新モデルの恩恵を受けられます。寿命が近づいているパワーコンディショナは設置してから10年ほど経過しているため、その間に進化した最新モデルが出ているでしょう。交換すれば従来のパワーコンディショナよりも変換効率や発電量がアップする可能性が高く、より多くの電気を自家消費や売電に活用できます。
保証期間が長くなる
パワーコンディショナの交換により、保証期間が従来のものよりも伸びる可能性があります。パワーコンディショナの保証期間は10年が一般的でしたが、近年では15年という長い期間を保証してくれるメーカーがあります。理由としてはパワーコンディショナの進化により耐久性が上がったためだと思われます。保証期間が長くなれば、その分長く安心して使用できます。
パワーコンディショナは自分で交換しない方がいい理由
パワーコンディショナは自分で交換することも可能ですが、以下の理由でおすすめできません。
- 交換には第二種電気工事士の資格が必要
- 自分で交換すると保証の対象外になる
それぞれ解説します。
交換には電気工事士の資格が必要
出力50kW未満の太陽光発電設備は「一般用電気工作物」となり、電気工事士法に基づいて電気工事士(第一種または第二種)が取り付けなければいけません(※)。そのため電気工事士の資格を持たない人が設置しようとすれば違法行為になってしまいます。そもそもパワーコンディショナを取り付けるのは素人では技術的に難しいため、必ず知識と経験のある専門業者に行ってもらいましょう。
※参照:経済産業省
自分で交換すると保証の対象外になる
パワーコンディショナは電気工事士であれば交換できるものの、メーカーが独自に発行した施工IDを持った業者が作業をしなければ保証の対象外になります。施工IDはメーカーが実施する研修に合格した証ともいえるため、それ以外の個人や業者が行っても保証はしてくれません。メーカーとしては自社の研修に沿った内容で取り付けされていないパワーコンディショナで、何かしらのトラブルが起きても責任は持てないからです。そのため施工IDを持たない個人は自分で交換せずに、施工IDを持っている専門業者に依頼しましょう。
パワーコンディショナの不具合を早期発見する方法
パワーコンディショナの不具合を早期に発見することで、トラブルを事前に防ぐことができます。早期発見する方法は以下のとおりです。
- 定期的なメンテナンス
- 発電量を定期的にチェックする
それぞれ解説します。
定期的なメンテナンス
定期的なメンテナンスを実施することで、トラブルを防ぎながらパワーコンディショナを使用できます。定期的なメンテナンスの期間は3〜4年ほどが推奨されており、費用の相場は約2.9万円とされています(※)。定期的にメンテナンスすれば気付けなかった施工不良などの不具合に早く気付けるため、火災などのトラブルを防ぎやすくなります。性能維持と安全性確保のためにも、定期的なメンテナンスを心掛けましょう。
※参照:経済産業省
発電量を定期的にチェックする
太陽光発電の発電量を普段からモニターでチェックしておくことで、パワーコンディショナの不具合を早期発見できる可能性があります。天候などによる影響がないにも関わらず普段よりも発電量が明らかに落ちている場合は、パワーコンディショナの不具合かもしれません。そのため定期的に発電量をチェックしておくことをおすすめします。
パワーコンディショナを交換する際は蓄電池の導入を検討する
パワーコンディショナが寿命で交換する場合は蓄電池の導入を検討してみましょう。蓄電池のなかには、太陽光発電とパワーコンディショナを共有できるハイブリッドタイプがあります。そのため太陽光発電用のパワーコンディショナを交換する必要がなくなります。また蓄電池は太陽光発電の電気を貯めることができるため、より経済的になったり停電時に安心できる環境が手に入るでしょう。パワーコンディショナ単体の交換費用よりは高額になるものの補助金でお得に導入できる可能性があるため、ハイブリッドタイプの蓄電池の導入も視野に入れてみてくだい。
まとめ
パワーコンディショナは太陽光発電にとって欠かせない機器です。太陽光発電の電気を自宅で使えるようにしたり、発電量を安定させたりといった重要な役割があります。価格相場はオープン価格にしているメーカーが多いため、実際には販売店によって大きく異なります。そのため必ず相見積もりを取って、相場を把握しておくと良いでしょう。相場を知ることで、どのくらいの費用が高額なのかを判断できるようになるため、無駄に費用を払ってしまうなどのトラブルを防げるようになります。
またパワーコンディショナの寿命は10〜15年が一般的なので、寿命が近づいてきたら交換を検討してください。交換することで結果的に費用対効果が上がる可能性が高くなります。定期的なメンテナンスや発電量のチェックなども忘れずに行い、トラブルを事前に防ぐように行動することも大切です。そしてパワーコンディショナを交換する際は、ハイブリッドタイプの蓄電池の導入も検討してみてください。導入することで現在よりもお得で、より安心できる生活を実現できる可能性があります。