太陽光発電設備を導入しているご家庭であれば、絶対に知っておきたいfitという制度をご存じでしょうか。
正式名称は「固定価格買取制度(以下fit制度)」で、太陽光発電をはじめとしたクリーンな再生可能エネルギーを普及するために国が定めた制度です。
実はこのfit制度を知らないままでいると、太陽光発電設備を既に導入しているご家庭もしくは導入を検討しているご家庭は損をしてしまうかもしれません。
そこで今回の記事では、fit制度に関して知っておきたい6つのポイントを解説します。
- fit制度の基本的な知識
- 制度を一般家庭が活用するメリット
- fit制度で電気を売る方法
- 卒fiitとは?
- fit制度に関するありがちな誤解や疑問
- 効果的に利用できる蓄電池併用のススメ
今回の記事さえ読めば太陽光発電設備に深い関わりをもつfit制度や卒fitに関して網羅できるので、知らずに損をしないためにも参考にしてくださいね。
太陽光発電利用者はチェック必須!「fit」とは?
ここでは太陽光発電設備を利用している人であれば、必ず知っておきたい「fit制度」に関して詳しく解説していきます。
そもそも太陽光fit制度とは?
そもそもfit制度とはFeed-in Tariffの略称で「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」という意味です。
近年では地球環境に良くないエネルギーを出来るだけ排除し、クリーンな再生可能エネルギーを活用しようという動きが活発に行われています。
日本でも再生可能なエネルギーを利用する人たちが増えて、一般家庭にも浸透することを目的として創設されたのがfit制度です。
まだ従来のエネルギーよりもコストの高い再生可能なエネルギーの導入をスムーズにするために、電力会社が「一定期間再生可能エネルギーで発電した電気の買取を約束する」ことを定めている制度になります。
対象となっている再生可能なエネルギーについては、一般家庭にも導入されている太陽光発電をはじめとして次の5つの種類です。
- 太陽光発電
- 風力発電
- 水力発電
- 地熱発電
- バイオマス発電
こういった再生可能エネルギーから発電した電気の買取を一定期間確実に約束することで、発電設備の高い導入コストを回収しやすくして普及促進を狙っているのが「fit制度」の制度趣旨になります。
一般家庭とfitは関係ある?
実はfit制度は一般家庭とも深く関わりを持っています。
一般家庭とfit制度の関係をまとめると、主に次の通りです。
- 自宅に導入した太陽光発電設備で発電した電力を「消費して残った分」を買取してもらえる
- 制度が適用された時から10年間~20年間は高値で買取してもらえる
このように太陽光発電設備を導入しfit制度を適用すれば、10年間はご自宅の余剰電力をお得な価格で買取してもらえるのです。
さらに買取価格は10年間固定となっているため、電力会社が設定している電気料金に左右されることなく一定の利益を得ることができます。
ただ1点注意したいのは、買取価格が年々下がりつつあるという点です。
(経済産業省資源エネルギー庁 固定買取価格制度より独自作成)
このように年を追うごとに太陽光発電設備を利用する人も増えているため、売電価格の固定値も下がっています。
そのためできるだけお得に制度を利用するためには、できるだけ早いうちに太陽光発電を導入しなければいけません。
fitを太陽光発電設備導入済みのご家庭が利用するメリット
fit太陽光発電設備導入済のご家庭が利用するメリットは3つあります。
それぞれどのようなメリットがあるのか、以下で解説していきます。
電気を売って利益を得ることができる
太陽光発電設備導入済みのご家庭がfit制度を利用する最大のメリットは、余剰な電気を売って利益を得ることができるという点です。
例えば、実際に2023年度に太陽光発電設備を導入しfit制度を適応したと考えて、どれくらいの利益を生み出すことができるのか計算してみましょう。
- 売電価格 16円/kwh
- 太陽光発電パネルの容量 6kw
- 年間売電した場合の目安 16円/kwh×6kw×年間発電量1,100kwh=10万5,600円
このように年間で10万円の利益を生み出すことができます。そして10年間フルで太陽光発電を利用した場合、利益は約105万円までにのぼります。
(※なおこの計算はあくまでも参考であり、太陽光発電設備や環境によって数字は異なります)
もちろん自家消費によって電気代も削減することができるので、単純に売電価格だけが利益ではありません。
ご自宅の環境や太陽光発電の設備、補助金制度の利用によっては導入費用よりかなりのプラスを出すことも期待できるでしょう。
電気を格安で使える
太陽光発電設備がご自宅に導入されていれば、毎日必ず使うことになる電気を格安で使えるのもメリットです。
やはり現代生活に電気というのは欠かせないものがあるため、それを太陽光発電で作った電気でまかなうというのはかなり魅力となります。
また資源エネルギー庁が発表しているデータによると、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーは従来の発電設備よりも発電コストが安いということが判明しています。
(参考:国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案|資源エネルギー庁)
そのためfitを利用して太陽光発電を使うご家庭が多くなれば、より電気代が安くなる未来が訪れることもあるでしょう。
また今後は電気代の上昇も懸念されておりますので上昇する電気代対策として有効です。
「2023年最新版」電気料金値上げ!気付かないうちに損をする!?
環境に配慮した生活を送ることができる
fitを利用して積極的に太陽光発電を生活の中に取り入れれば、環境に配慮した生活を送ることもできます。
再生可能エネルギーの普及は今後の現代社会を維持していく上でも、絶対に欠かすことができないものです。
2023年度の売電単価が発表
2023年度の売電単価は以下の通りになります
10kW未満 16円
10kW以上50kW未満 10円
50kW以上 9.5円
fit制度を活用して太陽光発電から得た電気を売る方法
ここではfit制度を活用して太陽光発電から得た電気を売る方法について簡単に解説します。
必要な手続き
fit制度を利用するための申請手続きは、以下の通りとなっています。
- 再生可能エネルギー電子申請サイトに登録する
- サイト内で操作マニュアルを確認し申請情報を入力
- 必要書類をアップロードする
- 申請内容に問題がなければ承諾
fit制度は専用の「再生可能エネルギー電子申請」というサイトで、手続きを全て終えることができます。
サイト内には操作マニュアルや申請において必要な情報がすべて掲載されているので、確認しながら作業をすることも可能です。
買取価格・期間
2023年現在、fit制度を利用して売電した場合における買取価格と期間はそれぞれ以下の通りです。
10kW未満
- 買取価格:16円(2023年) (※年ごとに買取価格は変動します)
- 買取期間:10年
10kW以上50kW未満
- 買取価格:10円(2023年) (※年ごとに買取価格は変動します)
- 買取期間:20年
50kW以上
- 買取価格:9.5円(2023年) (※年ごとに買取価格は変動します)
- 買取期間:20年
買取の対象
買取対象は、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーによって発電された電気になります。
卒fitとは?
ここではfit制度を利用する人であれば全ての人が関係している「卒fit」に関して解説します。
そもそも卒fitとは
ここまで紹介してきたfit制度は、適用期間が10年です。
そのため10年が経過すると期間満了を迎えて、制度を利用することができなくなります。
期間満了を迎えたことを「卒fit」といい、現在では既に卒fitを迎えたご家庭も多いです。
fit制度を利用して売電をすると、制度が適用された年の買取価格で10年間は余った電気を売ることができます。
例えば、2023年度にfit制度を利用して電気を売った場合、10年間は約16円で売電することが可能です。
しかし10年後の2033年には16円で買取をしてもらえなくなるため、現行の電力会社が設定する価格での買取をしてもらう必要があります。
卒fitを迎えたらどうすればいいのか?
卒fitを迎えた場合、主に次の3つの手段が考えられます。
- 同じ電力会社に電気の買い取りをしてもらう
- 新電力など他の電力会社に電気を買取してもらう
- 自宅で作った電気をそのまま消費する
fit制度を利用できる期間の間は、特に手続きなど必要なくそのまま売電することができます。
しかし期間満了を迎えて制度が利用できなくなってしまうと、電力会社側の買取義務がなくなるため買取契約が解除されてしまう場合もあるので注意が必要です。
万が一契約を解除されてしまってそのままにしていると、今までは売電していた余った電力は無料で配電事業者へと供給されてしまいます。
少しでも損をしたくないとお考えの方は、上記の3つの手段のうちいずれかを選ぶ必要があります。
↓卒fit後について詳しくはこちら!
卒fitとは?卒fit後あまった電気はどうすればよいのか解説
fit制度と太陽光発電にありがちな誤解・疑問
fit制度や太陽光発電は専門的な知識を必要とすることも多く、誤解や疑問を抱いている方も多いです。
そこでここではfit制度と太陽光発電にありがちな誤解や疑問について解説します。
設備を導入してから毎年買取価格が下がってしまうのか?
fit制度では設備を導入してから制度が「適用された年の買取価格」で10年間買取をしてもらえます。
買取価格は年々下がりつつあるということは上記でも少し触れました。
しかし仮に制度を適用した次の年に買取価格が下がってしまったとしても、前年度の買取価格のまますでに買取をしてもらえるので安心してください。
買取価格が下がって導入する意味が無いって本当?
確かに毎年買取価格が下がっているのは事実です。
しかし2023年現在でも、太陽光発電の設備やご自宅の環境によりますが1年間で10万円以上の利益を生み出してくれます。
また毎年のように電力の需要が高まっていることから、今後買取価格が値上がりする可能性も否定できません。
また太陽光発電のメリットは、fit制度を利用した売電だけではありません。
他の様々なメリットを考慮すると、現在でも太陽光発電を導入する価値は高いといえます。
卒fit後には買取してもらえなくなるって本当?
卒fit後にも電力会社に余った電気は買取してもらえます。
ただし、買取金額が大きく下がることや、買取が途中で終わる可能性などもございます。
太陽光発電では30年以上も使用できている可能性がございますので10年で卒fitを迎えても残り20年以上は使用できる計算になります。太陽光発電を設置されている方、設置をご検討されている方は卒fitを見越して設置することをオススメしております。
太陽光発電を効果的に利用するなら「蓄電池」との併用がおすすめ!
fitと太陽光発電を効果的に利用したいのであれば、「 蓄電池」との併用がおすすめであるということはご存知でしょうか。
ここでは蓄電池との併用がなぜおすすめなのか、その理由について解説していきます。
蓄電池を付けることで経済的メリットが大きい
蓄電池をつけることで、太陽光発電をさらに効果的に利用することができます。
例えば、一般的に電気料金が高くなるのは使用者の多い昼間です。
しかし太陽光発電と蓄電池を併用することにより、昼間は太陽光発電で発電した電気を使い、夜間は使用料金の安い電気を貯めておくということができます。
貯めておいた電気は太陽光発電で賄うことができなかった場合に使えるため、電気料金の高い昼間の電気を使う必要がなくなります。
また場合によっては、太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯めておき、夜間の電気を全て賄うことで電気代を限りなく0に近い数字まで節約することも可能です。
1日単位では微々たる数字かもしれませんが、太陽光発電設備と蓄電池が寿命を迎えるまで節約することができます。
国や自治体の補助金でお得に導入可能
太陽光発電設備や蓄電池は高価であるため、設備導入の際にまとまった費用が必要になります。
しかし現在では国や地方自治体の補助金・支援制度が利用できるため、お住まいの地域によってはかなりお得に導入することも可能です。
お住まいの地域で蓄電池導入の補助金・支援制度があるのかどうかは、自治体の公式ホームページで確認することができるので、興味がある方はチェックしておきましょう。
【2023年最新】太陽光発電の補助金は利用できる?現在の制度を解説
停電時に非常用電源として使える
蓄電池をご自宅に備え付けておけば、震災や停電の時に非常用電源として使用することができます。
蓄電池の容量やタイプによっては、太陽光発電と併用することにより家中の家電製品に必要な電気をすべてまかなうということも可能です。
最近では東日本大震災や大雨などの被害により、電気の重要性を実感し蓄電池を導入するというご家庭も増えています。
また持病などで常に電子機器などを利用しなければいけないという方や、室温調整が必要なペットをお持ちの方などにとっては、太陽光発電と蓄電池はかなり助かる設備です。
万が一の災害や停電に備えておきたいとお考えの方は、太陽光発電と蓄電池の併用を検討してみてはいかがでしょうか。
卒FIT後の自家消費で活躍してくれる
fit制度が満了を迎えて卒fitを迎えたら、電気を自家消費するという選択をする人も多いです。
そこで新しく蓄電池を導入することにより、太陽光発電で創った電気を貯めておき自宅で消費することが考えられます。
余った電気も貯めておくことができるため、より太陽光発電を効率的に使うことができるのも蓄電池のメリットです。
【 さらに蓄電池のメリットについて詳しく知りたいという方はこちらの記事も参考にしてください】
fit制度を理解して太陽光発電設備を活用しましょう!
太陽光発電設備を導入されているご家庭にとってはfitは当たり前の制度ですがfitのことを知ってるようで知らないご家庭様も多くおられます。
期間の間は固定価格で売電することができるのはもちろんのこと、期間満了を迎えても他の電力会社に買取してもらったり、作った電気をすべて自家消費したりといった選択肢が太陽光発電にはあります。
新日本エネックスでは、ご家庭に最適な太陽光発電設備の導入や蓄電池の販売を行っています。
ご自宅に太陽光発電設備や蓄電池の導入を考えている、もしくは既に導入している太陽光発電設備や蓄電池に関してお困りのことがあれば、お気軽にお問合せください。