太陽光発電は電気代を節約できる、環境に優しい、など様々なメリットがありますが、一方で導入には多額の初期費用がかかるので中々手が出しづらいものでもあります。
しかし、コストを抑えて太陽光発電システムを導入できることをご存知でしょうか?
今回は「0円ソーラー」の仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
・0円ソーラーとはいったいどのようなものなのか?
・なぜ無料で設置することができるのか?
・0円ソーラーのメリット・デメリットは?
などをわかりやすく解説していますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください!
0円ソーラーとはどのようなもの?
0円ソーラーは、費用がかからない「0円」でソーラーパネルを設置できるプランのことを言います。
そもそも太陽光発電は、太陽の光エネルギーを用いて発電するシステムです。太陽の光はエネルギー源として永続的に使用できるため、再生可能エネルギーとされています。
もともとは人工衛星に用いられていたシステムでしたが、発電時にCO2を排出しないことから地球に優しいエネルギーとして注目されるようになりました。
家の電力として活用したり、余った電力を売却できたりするなどのメリットから
住宅用の太陽光発電も増えてきています。
しかし住宅用の太陽光発電システムの導入には高額な初期費用がかかるので、設置に二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか?
そのような方におすすめなのが、0円ソーラーです。
なるべく初期費用を抑えたいという方にうってつけの仕組みとなっています。
なぜソーラーパネルを初期費用0円で設置できるのか
「本来高額な初期費用がタダなのは怪しい…」と考える方も多いですよね。
ここでは0円ソーラーが無料な理由を解説していきます。
0円ソーラーは、提供している事業者が初期費用を負担してソーラーパネルを設置します。
設置した住宅所有者に対してのみ電力プランを用意します。
この電力プランとは、設置後およそ10年間は発電した電力のうち使用した分の電気料金を支払ってもらうというものです。
事業者からすれば初期費用を負担したとしても、約10年の間に電気の使用料金と余った分の電力を売電することで、負担した費用を回収して利益を生むことができます。
また住宅所有者としても、無料でソーラーパネルを設置できるだけでなく、自宅で発電した電力を利用するので電気料金を比較的安く抑えることが可能です。
さらに0円ソーラーは約10年の期間が終われば、無償で住宅所有者に譲渡される場合もあります。
0円ソーラーの3つのモデル
0円でソーラーパネルが設置できる0円ソーラーですが、その中でも大きく分けると3つの種類があります。
・屋根貸しモデル
・ソーラーPPAモデル
・リースモデル
それぞれの仕組みや特徴について詳しく見ていきましょう。
屋根貸しモデル
「屋根貸し」は住宅の屋根スペースを事業者に貸し出すモデルです。
特徴としてあくまでも住宅所有者はスペースを貸しているだけなので、設置されたソーラーパネルは事業者所有となります。
屋根貸しモデルのメリットは無料でソーラーパネルを設置できる上に、屋根を貸し出すことによる賃料を受け取れる点です。賃料の相場は年間1㎡あたり100〜300円と言われています。
一方で、ソーラーパネルを所有しているのが事業者なので発電された電力も全て事業者のものとなります。そのため自宅での電力消費や売電は行えません。
ただし契約内容によっては災害時などは非常用電源として使用できます。
賃料はあまり高くないので経済的メリットは弱く、主に借家の所有者が家賃のプラスαとして屋根を貸し出しています。
ソーラーPPAモデル
PPAとは「Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル」の略です。
事業者が初期費用を負担して住宅所有者の屋根にソーラーパネルを設置し、発電された電力を住宅所有者が購入して使用するという仕組みになっています。
自宅で発電した電力を使用するので基本的に電気代を安く抑えることができる点がソーラーPPAモデルの最大のメリットです。
また屋根貸しとは異なり、契約期間が満了すればソーラーパネルは住宅所有者に無料譲渡されます。
デメリットは屋根貸しモデル同様に発電された電力は事業者のものなので、余った電力を活用し、売電するなどの行為ができない点です。
そのほか、使用する電力が多い家庭や時期によっては購入する電力が高くなってしまう場合もあります。
リースモデル
リースは事業者がソーラーパネル設置の初期費用を負担する代わりに、住宅所有者は月々リース料を支払うというモデルです。
リースモデルの特徴は発電した電力は住宅所有者のものであるという点です。
そのため電力をそのまま使用でき、余った電力は売電して収益を得ることもできます。
また他のモデルと異なり、事業者はリース料で初期費用を回収するので設置条件が比較的少ない点も特徴です。
ただし毎月定額のリース料金を支払わなければならないため、使用する電気代や売電収益がリース料金を下回っているとマイナスになるというデメリットもあります。リース料金自体はソーラパネルのスペックなどによって上下します。
0円ソーラーを利用できる条件
メリットの多い0円ソーラーですが、利用には一定の条件があります。中でも多いのが「年齢制限」と「築年数制限」です。
0円ソーラーを提供する事業者は基本的に電気料金で初期費用を回収しますが、高齢の方や築年数が古い住宅は元が取れないリスクが高いからです。
ただしリースモデルの場合はリース料金を毎月徴収するため、比較的条件が緩和されています。
また条件は事業者によって異なり、一般的には年齢制限は50歳未満~70歳未満、築年数制限は10年未満〜40年未満と言われています。
0円ソーラーのメリットとは
ここからは0円ソーラーのメリットを紹介します。
・初期費用がかからない
・メンテナンス費用も0円
・災害時に自家発電を利用できる
・一定期間後は設備は完全に譲渡される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
初期費用がかからない
やはり一番のメリットは初期費用がかからないという点です。
家庭用の太陽光発電では、初期費用は1kW当たり20万〜30万円程度が相場ですが、これらの費用を負担せずに済みます。
初期費用をなるべく抑えたい、まとまったお金を用意することができない、という方には魅力的です。
メンテナンス費用も0円
0円ソーラーは初期費用がかからないだけでなく、メンテナンス費用も事業者が負担するため無料です。
太陽光発電は資源エネルギー庁の資料によると4年に一度の定期点検が推奨されています。また定期点検以外にも清掃やパワーコンディショナーの交換が必要な場合もあり、それぞれ数万円〜数十万円の費用がかかります。
これらの費用も全て事業者に負担してもらえるのは大きなメリットですよね。
災害時に自家発電を利用できる
0円ソーラーは災害時で電力が使用できない状況でも、日中ソーラーパネルが発電した電力であれば使用することができます。
ただし発電した電力が事業者所有となる屋根貸しモデルやソーラーPPAモデルでは、災害時に電力を利用できるかは契約次第となるので予め注意しておきましょう。
一定期間後は設備は完全に譲渡される
また0円ソーラーは基本的に一定期間が満了すれば住宅所有者に無料で譲渡されます。
多くの0円ソーラーは約10年が契約期間となっているので、10年後からは自己所有の物として使用する電気をまかなうなど自由に扱えるようになります。
ただし契約期間満了後のメンテナンス費用や撤去費用は住宅所有者が負担しなければなりません。
設置する太陽光発電システムの保証内容などは事前に確認しておきましょう。
0円ソーラーのデメリットとは
ここまで0円ソーラーの仕組みやメリットを見てきましたが、以下のようにいくつかデメリットもあります。
・売電収入をほとんど得られない
・契約満了までが長い
・ソーラーパネルの交換や処分ができない
しっかり確認して0円ソーラーを利用するようにしましょう。
売電収入をほとんど得られない
基本的に0円ソーラーで発電される電力は事業者が所有しているので、太陽光発電導入のメリットの一つである売電による収入は得られません。
また屋根貸しによる賃料も年間1㎡あたり100〜300円ほどと、得られる収益はかなり安くなっています。
もちろん初期費用無料や電気代が安くなるなど、節約の面ではメリットが大きいですが、太陽光発電による収入を期待している方には0円ソーラーは向いていないと言えます。
契約満了までが長い
前述しましたが0円ソーラーの契約期間は約10年間に及びます。この契約期間中に何らかの事情で解約すると、解約違約金として太陽光発電システムの買取り料金が発生します。
引っ越しする必要が出てきた場合やソーラーパネルを外したい場合には大きな損益が発生することになるので、契約前に将来設計や解約の条件をしっかりと確認しておきましょう。
ソーラーパネルの交換や処分ができない
0円ソーラーの仕組みを利用した太陽光発電システムは契約期間が満了するまで事業者が所有しています。
そのため住宅所有者はソーラーパネルの交換や処分を自由に行えないというデメリットもあります。
0円ソーラーを利用する場合には、約10年間はソーラーパネルを設置し続けなければならないということを理解しておきましょう。
自己保有と0円ソーラーのどちらが向いているか比較
太陽光発電システムを自分で購入し自己保有とする場合と、事業者が契約期間は保有者となる0円ソーラーのどちらが自分の家に向いているでしょうか?
自己保有 | 0円ソーラー | |
設備保有者 | 購入者本人 | 事業者 |
費用負担 | 機器代.工事代.ソーラーローン金利 | 新しい電力プランによる電気代またはリース代 |
保証 | メーカーによる保証 | 契約期間中は事業者が負担 |
メリット | 電気代の削減.売電収入停電対策 | 設置費用が0円停電対策(契約内容による) |
デメリット | 初期費用が掛かる | 売電収入が得られないパネルの交換や処分ができない |
0円ソーラーで設置する場合は設置費用が掛からない大きなメリットはありますが、売電収入が得られなかったり発電した電気を自家消費できないなど、発電した電気を自由に使えないデメリットもあります。
自己保有の場合は設置費用が掛かりますが、売電収入や電気代削減など発電した電気を自由に使えるメリットがあります。
ご家庭の状況や目的に応じて、どちらが良いのか判断してみると良いでしょう!
仕組みを理解して0円ソーラーを活用しよう!
0円ソーラーは、本来高額の初期費用がかかる太陽光発電システムを無料で導入できるといったお得な仕組みです。
もちろん「0円」と名付けられているとは言え、全ての費用が一切かからないわけではありませんが、初期費用やメンテナンス費用をできるだけ抑えたいという方にはぴったりと言えるでしょう。
また費用面以外にも災害時のリスクを減らす、契約期間後は無料で譲渡されるなどのメリットもあります。
0円ソーラーは多くの事業者が提供しており、契約内容や条件も事業者によってまちまちなので、それぞれのモデルの仕組みや内容をしっかりと理解してお得に活用しましょう。