「太陽光発電投資に興味があるけど、どんなメリットがあるの?」「向いている人や失敗しないポイントを知りたい」といった疑問をお持ちではないでしょうか?
太陽光発電投資には多くのメリットがある一方でリスクもあります。そのため太陽光発電投資についての理解を深めて行うことが大切です。
今回の記事では、太陽光発電投資の基礎知識からメリット・デメリット、向いている人、失敗しないポイントまで解説します。本記事を読めば太陽光発電についての理解が深まるため、向いているのかが判断できたり導入後の後悔を減らせる可能性があるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
太陽光発電投資の仕組み
まずは太陽光発電投資の仕組みを紹介します。基礎知識として理解しておけば理解しやすくなるため、ぜひ学んでみてください。
太陽光発電投資は電気を売って利益を得る投資
太陽光発電投資とは、再生可能エネルギーである太陽光を利用して生み出した電気を、電力会社に売電して利益を得る投資方法です。
売電するには、電気を買い取ってくれる電力会社と契約をしなければいけません。売電する際の単価は、国が開始したFIT制度(固定価格買取制度)により、毎年見直された単価が適用されます。
適用される期間は10kW未満の主に家庭用の太陽光発電で10年、10kW以上の産業用太陽光発電で20年です。FIT制度により国が定めた単価・期間で売電できるため、安定して利益が得られる投資として注目されています。
太陽光発電投資に必要な設備と経費
太陽光発電に必要な設備は、主に「太陽光パネル・パワコン・モニター・架台・ケーブル」などです。電気を生み出すためには太陽光パネルに太陽光を取り入れる必要があります。
太陽光パネルで生み出された電気は直流なので、家庭やビルなどで使用できるよう交流に変換してくれるのがパワコンです。またパワコンには発電量を安定させたり、トラブルが起きた際に出力を制御するなど重要な役割があります。
そのほか太陽光パネルを支えるための架台や機器をつなぐケーブルなど、さまざまな設備が必要です。
経費としては設備に必要な費用以外に、設置するための工事費・運用維持費なども発生します。2020年における事業用太陽光発電(10Kw以上)の工事費を含むシステム費用は25.3万円/kWでした。また運転維持費に関しては0.55万円/kWとなっています。
2013年時点のシステム費用は42.1万円/kWだったことを考えれば、近年は経費が大幅に少なくなっていることがわかるでしょう。そのため以前よりも投資しやすい環境だといえます。
※参照:経済産業省
太陽光発電の売電で重要なFIT制度と単価
太陽光発電で利益を得るために重要なのがFIT制度と単価です。FIT制度は太陽光発電の普及を目的としているため、誰もが適性な売電収入を得られるように2012年から開始されました。
FIT制度を活用するメリットは、国が定めた単価と期間により安定した売電収入が得られることでしょう。2023年度の単価は10kW未満で16円、10kW以上50kW未満で10円、50kW以上で9.5円です。
ただしFITの単価は年々、下落する一方です。詳細な単価の推移や理由は後ほど解説します。
太陽光発電投資のメリット
太陽光発電投資には多くのメリットがあります。実際に投資する際の判断材料になるため、それぞれのメリットを把握しておくと良いでしょう。
長期的に安定した売電収入が得られやすい
太陽光発電投資は、FIT制度によって長期で安定した売電収入を得られるのがメリットです。10kW以上の産業用太陽光発電では、FITの認定を受けた年から20年間は同じ単価で売電できます。
また太陽光パネルの寿命は20〜30年ほどです。メーカーでも寿命に見合う保証期間が設けられていることが多く、長期運用しやすくなっています。長期的に安定した売電収入を得られるのは、太陽光発電投資の大きなメリットだといえるでしょう。
太陽光発電投資は利回りが高め
太陽光発電投資は、平均して10%前後という高い利回りが見込めるといわれています。例えば株式や不動産の利回りは平均で5%ほどが一般的です。
太陽光発電投資の利回りが高い理由は、FIT制度によって一定期間、定められた単価での買い取りが保証されているためです。
また太陽光発電投資は株式・為替・不動産などの投資と比べて、景気に左右されにくい特徴があります。もちろん条件次第では、他の投資のほうが利回りが高くなるケースがあるでしょう。安定した収益が期待できる投資のなかでは利回りが高めな投資といえます。
個人事業・法人で節税対策になる
太陽光発電投資は個人事業主・法人の節税対策になります。節税対策の一例として「消費税還付」が利用できるでしょう。
消費税還付は支払い過ぎた分の消費税額の差額を還付してもらえる制度です。太陽光発電投資には数千万円ほどの高額な経費が必要になります。そのため消費税額も高額になりやすいため、少しでも消費税が還付されることで節税対策になるでしょう。
また10kW以上の太陽光発電は、期間に応じて資産価値が減っていく「減価償却」の対象です。太陽光発電の法定耐用年数は17年とされており、長期運用するほど資産価値が減るため相続税対策としても有効だといえます。
ただし税制度の改正や売電方法などで適用される内容が異なるため、常に最新情報のチェックをしておきましょう。
※参照:太陽光発電協会
不動産投資よりも管理しやすい
太陽光発電投資は不動産投資よりも管理しやすく、初心者でも始めやすいという特徴があります。不動産投資で安定した収益を得るには、不動産の知識やエリアごとの特徴などを把握しておかなければいけません。
また場合によっては空室対策として、客付けしたり老朽化する物件のリフォームを行ったりする必要もあるでしょう。大規模なリフォームを行えば高額な工事費が発生するため、費用の回収までに時間がかかってしまうこともあります。
一方、太陽光発電投資では設置したあとは点検や清掃がメインで、専門業者に任せておけば自分の手間を極力減らすことが可能です。不動産投資も管理会社に任せることはできますが、やはり太陽光発電投資よりも知識や経験が必要とされます。
FIT期間が過ぎても投資できる
FIT期間が過ぎても太陽光発電投資は行えます。太陽光発電の寿命は20〜30年ほどなので、FIT期間終了後でも10年ほどは売電を継続できるでしょう。
なおFIT認定を受けた時期が早いほど、FIT期間終了後の売電収入が減ってしまいます。例えば2012年に太陽光発電投資を始めた場合は、FITの単価は40円でした。しかし2023年現在の単価は16円となっており、年々減少していることがわかります。
FIT期間終了後は売電する電力会社を自由に選ぶことが可能です。そのため少しでも売電単価の高い電力会社を選ぶことで、売電収入の減少を抑えられるでしょう。
中古でも売却しやすい
太陽光発電投資は安定した収益が望めるため、途中で売却しやすいのが特徴です。特に早い時期から行っていた太陽光発電の中古物件は、FIT認定された当時の高い単価で運用できます。
また発電実績があれば投資対象として魅力的な物件になり、安定した収益によってシミュレーションもしやすくなるでしょう。新規で投資するよりも中古物件のほうがリスクを抑えて投資しやすいため、中古市場で買い手が付きやすいのがメリットです。
節税対策としても有効なので、太陽光発電の購入を検討する人が増えています。
収入が安定していれば融資が受けられる
太陽光発電投資は収入が安定していれば、高額な初期投資が必要でも始められる可能性があります。太陽光発電投資を始めるには、一般的に数千万円の高額な初期投資が必要です。
しかし数千万円という金額は高額なため、自己資金で用意できる人は限られます。そのため太陽光発電投資は、ソーラーローンや金融機関からの融資を受けて始めるのが一般的です。
サラリーマンのように収入が安定している人であれば、日本政策金融公庫・銀行・信販会社からの融資を利用できる可能性があります。フルローンを組めば、初期費用0円で太陽光発電投資を始めることも可能です。
メンテナンスは業者に任せられる
太陽光発電投資では、メンテナンスを業者に任せられることも大きなメリットです。太陽光発電投資は山間部や郊外などの土地に設置されることが多いため、人によっては自宅から離れてしまう可能性があるでしょう。
離れた場所に設置した場合は、メンテナンスやトラブルが起きるたびに現地に向かうのは大変です。特に本業が忙しい人にとっては、現地までの移動やメンテナンスに費やす時間が確保できない可能性があります。
メンテナンスを業者に任せておけば、手間と時間を大幅に削減しながら太陽光発電投資が行えるでしょう。
中古なら売電単価が高いまま始められる
太陽光発電投資は中古物件を購入して始めると、FIT認定当時の高い単価のままで始められます。例えば10kW以上かつ2015年にFIT認定を受けた中古物件を購入すると、単価は2015年当時の27〜29円です。
しかし2023年から始める場合の単価は9.5〜10円と、2015年当時の約1/3ほどになってしまいます。このように単価は年々下がっているため、中古物件の購入は太陽光発電投資にとって大きなメリットといえるでしょう。
ただし中古物件を選ぶ際は、過去の運用実績や残りのFIT期間を考慮しなければいけません。事前にシミュレーションを行い、費用を回収しつつ収益を得ていけるのか判断する必要がある点には注意しましょう。
太陽光発電投資のデメリット
太陽光発電投資には多くのメリットがある一方で、気になるデメリットもあります。デメリットも知ることで、より太陽光発電投資への理解を深めることができるでしょう。
天候で発電量が大きく左右される
太陽光発電投資は太陽光により発電するため、天候次第で発電量が大きく左右されるのがデメリットです。例えば晴れの日の発電量を100%とした場合、曇の日の発電量は50%以下、雨の日は20%以下に低下する可能性があります。
また日照時間や日射量が少ない地域はもちろん、暑い日が続くことでも発電量が低下することも知っておきましょう。一般的に太陽光パネルは暑さに弱いため、気温が上がりすぎると発電効率が落ちてしまうためです。
このようにコントロールできない天候や、日射量・日照時間の少なさが大きく影響します。発電量の少なさは売電収入の減少に直結するため、死活問題といえるでしょう。
自然災害による不具合・故障などのリスク
太陽光発電は台風等の自然災害の影響を受けやすいため、不具合や故障のリスクが付きものです。例えば台風によって強風で飛ばされてきたものによって、太陽光パネルが破損する可能性があります。
強風によって太陽光パネルの一部が飛ばされれば、破損だけではなく近隣住民への被害により賠償責任が問われることにもなりかねません。地震の影響により、太陽光発電設備の故障や不具合につながる可能性もあります。
太陽光パネルメーカーによっては自然災害補償があるものの、災害の種類や損害状況によって対象外になるものがある点も理解しておいてください。
出力制御で売電収入が減る可能性がある
太陽光発電投資では「出力制御」によって、売電収入が減ってしまう可能性があります。出力制御は電気の需要と供給をコントロールするために必要です。電力会社が出力制御を行う場合は電気の供給が多くなっているため、発電した電気を売電することができません。
FIT認定を受けている人は、出力制御の実施に同意していることになっています。そのためFITの単価で売電している場合は、出力制御に必ず対応しなければいけません。対応できない場合は、FIT認定が取り消されるため注意が必要です。
このように義務化されている出力制限に対応しなければいけないため、実施されるたびに売電収入が減ってしまいます。
売電単価が毎年下がっている
近年は太陽光発電が普及しシステム費用等が下がってきたことで、FITの単価も以下のように下落傾向にあります。
年度 | 10kW未満の単価 | 10kW以上の単価 |
2012年 | 42円 | 40円+税 |
2013年 | 38円 | 36円+税 |
2014年 | 37円 | 32円+税 |
2015年 | 出力制御対応機器設置義務なし:33円義務あり:35円 | 4/1~6/30:29円+税7/1~:27円+税 |
2016年 | 出力制御対応機器設置義務なし:31円義務あり:33円 | 24円+税 |
2017年 | 出力制御対応機器設置義務なし:28円義務あり:30円 | 10kW以上2,000kW未満:21円+税 |
2018年 | 出力制御対応機器設置義務なし:26円義務あり:28円 | 10kW以上2,000kW未満:18円+税 |
2019年 | 出力制御対応機器設置義務なし:24円義務あり:26円 | 10kW以上500kW未満:14円+税 |
2020年 | 21円 | 10kW以上250kW未満:12円+税10kW以上50kW未満:13円+税 |
2021年 | 19円 | 10kW以上250kW未満:11円+税10kW以上50kW未満:12円+税 |
2022年 | 17円 | 10kW以上50kW未満:11円50kW以上:10円 |
2023年 | 16円 | 10kW以上50kW未満:10円50kW以上:9.5円 |
※参照:経済産業省
FIT制度は太陽光発電の普及が目的です。太陽光発電が導入しやすい環境が整うほど、「FITの単価が安くなっていく=売電収入が減ってしまう」ことはデメリットといわざるおえません。
FIP制度への移行で収入が不安定になる可能性あり
FIP制度へ移行した際は、売電収入が不安定になる可能性があります。FIP制度は電力市場と連動して変動する参照価格に加え、プレミアム価格が上乗せされる仕組みです。FIP制度は現状で50kW以上の発電事業者が選択できます。
FIP制度がFIT制度と大きく異なるのは、売電収入が時期によって変化することです。FIT制度では単価が固定されているため、安定した収益を得ることができました。しかしFIP制度では電力市場の影響で、売電収入が時期によって変動します。
そのため売電するタイミング次第では、売電収入が減ってしまうでしょう。逆をいえば売電収入が増えることも考えられますが、タイミングを見極める手間が発生することは難点といえます。
規模によっては売電量が少なくなる
太陽光発電投資は発電する規模によって売電量が異なるため、売電収入が少なくなります。家庭用として導入されることが多い10kW未満、産業用として運用される10kWh以上〜50kWh未満の太陽光発電は「余剰電力」のみ売電が可能です。
余剰電力は発電した電気を自宅や事務所などで使用して、余った分のみを売電できます。しかし50kWh以上の産業用太陽光発電の場合は、発電したすべての電気を売電できる「全量売電」です。
全量売電は発電したすべての電気を売電できるため売電収入が多くなります。50kW未満で太陽光発電投資を行う際は、余剰電力のみの売電収入しか得られないことを理解しておきましょう。
太陽光発電投資に向いていない人
太陽光発電投資に向いていない人の特徴は2つあります。太陽光発電を行うかどうかの判断材料になるため、参考にしてみてください。
短期的にハイリターンを求めている
太陽光発電投資は、短期的にハイリターンを求める人には向いていません。太陽光発電投資は長期運用しながら、徐々に初期投資を回収しながら収益を上げていく投資方法です。
ほかの投資よりも利回りが平均で10%前後と高めですが、初期投資を回収するには最低でも10年ほどは必要になります。特にFIT制度を利用している場合は、良くも悪くも収益が安定しているため、短期的にハイリターンを得ることはできません。
短期的にハイリターンの可能性を求めるなら、50kW以上の太陽光発電投資でFIP制度の利用を検討してみましょう。
融資を受けることに抵抗がある
太陽光発電投資を行う際に、自己資金がないけど融資を受けるのに抵抗がある人にも向かないでしょう。太陽光発電投資の初期費用は土地の購入も含めると数千万円かかるため、ほとんどの人は融資が必要になります。
太陽光発電投資を行うための土地を所有していれば、初期費用を抑えることは可能です。場合によっては自己資金で始められる可能性はあるでしょう。
しかし自己資金がない状態で太陽光発電投資を行う場合は、融資が必須です。将来的に借り入れた費用を回収したうえで利益が見込めるのであれば、融資は「良い借金」になります。それでも融資が嫌だという人は、太陽光発電投資には向かないでしょう。
太陽光発電投資に向いている人
太陽光発電投資に向いている人にも特徴があります。自分が太陽光発電投資に向いているのかの判断基準になるので、ぜひ読んでみてください。
売電収入を長期で安定的に得たい
長期で安定的に収入を得たい人は、太陽光発電投資が向いています。太陽光発電投資はFIT制度が利用できたり景気に左右されにくいため、10〜20年間は安定した売電収入が見込めます。
例えば株式や為替は企業や国の経済状況の影響を大きく受けます。また価格は毎日のように変動しており、太陽光発電投資のように安定しているわけではありません。長期かつ安定的にローリスクで収入を得たいのであれば、太陽光発電投資が向いています。
時間や手間を減らして投資を行いたい
時間や手間をかけたくない人も、太陽光発電投資に向いているでしょう。太陽光発電は寿命が20〜30年ほどの長期運用を目的に作られているため、基本的にメンテナンスの回数は多くありません。
そこでメンテナンスを業者に任せることで、自分の手間と時間が大幅に減ります。その分の費用は発生しますが、これは必要経費だといえるでしょう。特に遠方の土地で太陽光発電投資をする場合は、現地までの移動に時間と手間がかかります。
ある程度のほったらかしで投資を行いたい人は、太陽光発電投資を検討してみましょう。
サラリーマンなど安定的な収入がある
太陽光発電投資はサラリーマンなどの安定収入がある人にこそ、おすすめできる投資といえます。太陽光発電投資を始めるには初期投資が数千万円ほどかかるため、多くの場合は融資を利用して始めるからです。
安定収入は融資が受けられるかどうかの大きな武器になります。フルローンが利用できれば、自己資金0円でも太陽光発電投資を行うことが可能です。高額な初期投資が必要な太陽光発電投資にとって安定収入がある人は、すぐにでも始められるチャンスがあります。
遊休地の活用方法で迷っている
遊休地の活用方法に迷っている人は、太陽光発電投資が有利に始められる可能性があります。太陽光発電投資は土地と太陽光パネルなどの設備が必要です。
土地を持っていない人は、土地の家賃や購入費を支払わなければいけません。土地の分だけでも初期費用が少くなれば回収できる期間が短くなるため、ローリスクで運用できるといえるでしょう。
広くて地盤が強く、日差しを遮るものがないなどの遊休地を所有している人は、太陽光発電投資に向いています。土地付きの太陽光発電を購入するよりも、よりリスクを抑えて投資できるでしょう。
2023年以降は太陽光発電投資に向いていない?
2023年以降、状況によっては太陽光発電投資に向かない可能性があります。それぞれ把握していただき、太陽光発電投資を行うべきか判断してみてください。
売電単価の低下で投資費用の回収に時間がかかる
2023年以降に新規で太陽光発電投資を行う場合は、売電単価が以前よりも低い状態からスタートします。そのため今まで以上に初期費用を回収するのに時間がかかるでしょう。
太陽光発電の工事費を含むシステム費用も減少傾向にあるものの、それ以上に売電単価が下がっています。2023年度から太陽光発電投資を行うのは、以前よりも不利な状況であることを理解しておく必要があるでしょう。
50kW未満は全量売電ができず売電収入が少なめ
50kW未満の太陽光発電は2020年度から全量売電が適用されていないため、売電収入が少ないのも向いていない状況といえます。2020年度からは50kW未満の太陽光発電は、約3割を自家消費にあてることが義務化されたためです。
2019年度以前は10kW以上の太陽光発電でも全量売電が選択できていました。そのため50kW未満の太陽光発電では、自家消費できない安い土地での全量売電ができなくなっています。
制度が改正されるたびに売電収入が減っていく傾向にあるため、2023年度以降に始めるのは向いていないといえるでしょう。
ただし太陽光発電投資自体は、まだまだ価値のある投資です。太陽光発電投資を2023年以降に始めて失敗しないためにも、次章でポイントを解説するので参考にしてみてください。
太陽光発電投資で失敗しないためのポイント
太陽光発電投資で失敗しないためには、ポイントを意識して行うことが大切です。ここでは太陽光発電投資で失敗しないための11のポイントを解説しているので、ぜひ学んでみてください。
できる限り自分の目で現地確認する
太陽光発電投資を行う土地は遠方であっても、できる限り自分の目で確認するようにしましょう。写真等で見るよりも現地で見る情報量のほうが多いためです。実際に現地に行って周辺環境や土地の状態などをチェックしましょう。
そして次に紹介する土地には設置しないようにするのがベストです。
日当たりの悪い土地に設置しない
日当たりの悪い土地は発電量が少なくなりがちです。例えば周りに高い樹木や建物があれば、時間帯によって影ができてしまう可能性があります。
写真を見るだけでは判断しにくいため、現地で実際に周辺環境をチェックしておきましょう。
狭い土地に設置しない
太陽光発電は狭い土地への設置も、おすすめできません。単純に太陽光パネルの設置枚数が少なくなるためです。
また狭い土地では太陽光パネルと周辺のフェンス等の距離が短くなることで、投石等による人的被害が起きやすくなります。できる限り広い土地に太陽光発電を設置してリスクを抑えましょう。
土地は借りずに購入する
太陽光発電投資を行う土地は、借りるよりも購入したほうが良いメリットが2つあります。1つ目のメリットは原状回復費がかからないことです。土地を借りて太陽光発電投資を行った場合は、終了時に元の状態に戻すための原状回復費がかかる可能性があります。
2つ目のメリットは土地を相続できることです。土地は購入していなければ相続できません。運用期間中に相続が必要な事態が起きた場合に、太陽光発電投資が継続できなくなる可能性があります。土地は借りずに購入したほうが恩恵があるでしょう。
防犯システムを付ける
費用をかけてでも防犯システムは必須といえます。太陽光パネルやケーブルなどは盗難の対象になりやすい設備です。実際に太陽光パネルや銅線ケーブルが盗まれる事件が発生しています。
太陽光パネルや銅線ケーブルを盗む目的の多くは転売です。特に広い土地で周辺に人気がない場合は、防犯システムを付けておかないと盗難被害に遭いやすくなります。安心して太陽光発電投資を行うのであれば、防犯システムの設置は必須です。
実績のある信頼性が高い業者を選ぶ
太陽光発電投資には高額な初期費用がかかるため、実績と信頼のある業者を選びましょう。例えば工事費が安いからといって経験不足の業者に依頼すると、施工不良によって不具合や故障が起きやすくなる可能性があります。
長期で運用するため実績と経験が豊富でなければ、安心して太陽光発電投資を始められないでしょう。実績や経験のほかにも対応の良さや口コミなどもチェックして、総合的に信頼できる業者を選んでください。
変換効率の高い太陽光パネルを選択する
太陽光発電投資で少しでも売電収入を多く得るには、変換効率の高い太陽光パネルを選ぶ必要があります。変換効率とは、太陽光エネルギーを電気へ変換してくれる割合のことです。変換効率が高ければ、それだけ発電量も多くなります。
変換効率が高いといわれる目安の数字が20%前後です。変換効率が20%を超えていれば優秀な太陽光パネルだといえます。変換効率やパネルの特徴は太陽光パネルメーカーによって異なるため、各メーカーの特徴を以下の記事で学んでみてください。
太陽光発電おすすめ11メーカーを一覧で紹介【分かりやすく解説】
メンテナンスや保険などの維持費を惜しまない
太陽光発電投資は長期運用して収益を上げていく投資なので、設備に対するメンテナンスや保険の費用は必須です。メンテナンスは故障や不具合を事前に防ぎやすくなり、発電量の維持に役立ちます。
保険は太陽光発電投資の最大の天敵である、自然災害のリスクを減らすために必要です。また設備の劣化や不良による火災や盗難被害に対応している保険もあります。
なにか起きる前に、なにか起きたあとのことも考慮して、メンテナンスや保険の費用を惜しまないようにしましょう。
利回りなどのシミュレーションをする
太陽光発電投資をするのであれば、事前に利回りをシミュレーションしておきましょう。利回りには単純に収益だけで計算する「表面利回り」と、実際の経費などを差し引いて計算する「実質利回り」があります。
特に重要なのは「実質利回り」です。実質利回りは売電収入から返済金や維持費などの経費を差し引いて計算して算出するため、実際に運用した際に近い利回りが計算できます。
表面利回りの計算式は「年間収入÷物件価格×100」です。実質利回りの計算式は「(年間の家賃収入-年間の諸経費)÷(物件の購入価格+購入時の諸経費)×100」となっています。
表面利回りは経費を考慮していないため、高い数字が出やすくなっているのが特徴です。表面利回りだけで判断せずに、必ず実質利回りでのシミュレーションも行いましょう。
経費計上や消費税還付を行う
太陽光発電投資を行うなら、経費計上や消費税還付を忘れずに行いましょう。太陽光発電投資は節税対策として、設備やメンテナンスなどの費用を経費として計上できる可能性があります。また消費税還付の対象なので、払いすぎた消費税が返ってくることもあるでしょう。
少しでも節税対策を行いたい場合は、太陽光発電投資に関する経費計上や消費税還付を行うことをおすすめします。
日本政策金融公庫など金利の低い融資元を利用する
太陽光発電投資を始める際の融資元は、金利の低い日本政策金融公庫などを利用しましょう。太陽光発電投資では数千万円という高額な初期費用がかかります。そのため数%の差でもトータルで見れば、大きな金額になるためです。
一般的には日本政策金融公庫の金利が一番低く、次に銀行、信販会社となっています。ただし注意点として金利が低いほど審査に通りにくかったり、条件次第では金利が高くなったりすることも覚えておきましょう。
金利が低い融資元ほど審査に時間がかかるため、融資を受ける際は早めに行動してください。
発電実績と全量買取の権利がある中古物件を探す
中古で太陽光発電投資を行う際は、過去の発電実績があったり2019年度以前の全量売電が可能な物件を探したりすると良いでしょう。
過去の発電実績があれば、より現実味のあるシミュレーションが行なえます。また、すでに太陽光発電が設置されていれば、現物を確認することも可能です。
2019年以前の中古物件は、現在よりも高い単価で売電できるだけではなく、50kW未満でも全量売電できます。このような物件は収益性が高くなるため、探してみることをおすすめします。
ただし残りのFIT期間や現状をよく確認しておかないと、思ったほどの収益を産まない可能性があるため慎重に選びましょう。
FIP制度に移行するなら蓄電池の活用も検討する
FIP制度に移行する際は、蓄電池を活用することで収益を上げられる可能性があります。FIP制度は電力市場と連動して価格が変動するため、電力需要が少なければ売電収入が少なくなりがちです。
このように電力需要が低いときに蓄電池へ電気を溜めておき、電力需要が高いときに売電すれば効率よく収益が上げられます。好きなタイミングで売電できるFIP制度だからこその戦略だといえるでしょう。
まとめ
太陽光発電投資は、長期で安定的に収益を上げられる投資として注目されています。ほかの投資よりも初心者が運用しやすく、ローリスクで始めることが可能です。
数々のメリットがある一方で、天候に左右されやすかったり売電単価が下がっていたりといったデメリットもあります。そのため、よく理解したうえで始めることが大切です。
ほかにも向いている人・向いていない人の特徴や、失敗しないためのポイントも参考にしながら太陽光発電投資を行うか判断してみてください。
条件や状況次第では2023年以降も収益が狙えるため、太陽光発電投資を検討してみてはいかがでしょうか。