太陽光発電の名義変更の手続き方法と必要書類を紹介【分かりやすく解説】
この記事の要約はこちら
・太陽光発電システムの名義変更には、契約者情報の更新が必要です。
・手続きには、売買契約書や譲渡証明書が必要となります。
・名義変更の手順は、電力会社とメーカーもしくは設置業者に連絡し、必要書類を提出しましょう。
・手続きの期間は1か月程度かかることが多い。
・変更手続きを怠ると、発電収益が得られなくなる可能性があります。
▼ 目次
太陽光発電システムが付属している住居の持ち主が変更される場合は、必ず名義変更をしなければいけません。
しかし、この名義変更にはいくつも種類があり、また申請方法・必要書類もそれぞれ複雑で専門的な知識がなければ難しいでしょう。
そこで本記事では、個人でも太陽光発電の名義変更ができるように、
- 太陽光発電の名義変更の種類
- それぞれに必要な書類・手続き方法
- 名義変更を個人で申請するときによくある疑問への回答
- 名義変更で損をしないための情報
上記のようなことを、分かりやすく解説します。
この記事を読めば、太陽光発電の名義変更について基礎的な知識を学べ、これからどうすべきかが具体的に分かるようになるので、ぜひ参考にしてください。
太陽光発電の名義変更には種類がある
太陽光発電が付いている住居の所有者が変わるときには、車や土地と同じように名義変更を必ずしなければいけません。
そして、その名義変更にはいくつか種類があり、特に重要なものは以下の3つです。
- 事業計画認定…国に申請するもの
- 売電契約…電力会社に売電するときの契約
- 土地登記簿:土地の所有者を特定する書類
上記の他には、以下の名義変更も併せて必要になります。
- メーカー保証
- 損害保険
- 定期メンテナンス
- 補助金
さらには、これらの名義変更では太陽光発電付きの住居を
- 事業譲渡する場合
- 相続する場合
上記のようなケースによって、必要書類が変わってきます。
先ほど紹介した特に重要な名義変更は、申請方法や必要書類が複雑になりますが、分かりやすいように一つずつ解説していくのでご安心ください。
「事業計画認定」の名義変更の手続き方法と必要書類
太陽光発電システムを導入して売電をするためには、経済産業省から事業計画認定を受ける必要があります。
そして、太陽光発電システムの所有者が変わると、その事業計画認定の名義を変更しなければいけません。
また、事業計画認定の名義変更では、事業譲渡か相続のケースで、それぞれ必要書類が変わるので注意しましょう。
生前贈与を含む事業譲渡で必要な書類
まずは、事業計画認定の名義変更において、「生前贈与を含む事業譲渡」の場合の必要書類を紹介します。
- 譲渡契約書または譲渡証明書(原本)
- 個人の場合:住民票の写、戸籍謄本(原本)または住民票記載事項証明書(原本)のいずれか
- 法人の場合:履歴事項全部証明書(原本) ※譲受者・譲渡者それぞれ必要
- 印鑑証明書(原本) ※譲受者・譲渡者それぞれ必要
- 裁判所による破産管財人証明書 ※破産による譲渡の場合のみ
また、地方自治体が譲渡に関係する場合は、以下の書類が必要になります。
- 譲渡契約書または譲渡証明書
- 公印規定
生前贈与を含む事業譲渡で必要になる書類には、譲渡をされる側と譲渡する側で用意するものがそれぞれ変わるため、お互いに連絡を取り合い提出漏れのないように準備を進めましょう。
相続で必要な書類
次に、事業計画認定の名義変更において、「相続」の場合の必要書類を紹介します。
- 被相続人(亡くなられた方)の戸除籍謄本 ※附票も必要
- 法定相続人全員の戸籍謄本(原本)または法務局発行の法定相続情報(原本)
- 法定相続人全員の印鑑証明書(原本)
- 遺産分割協議書または相続人全員の同意書
「生前贈与を含めた事業譲渡」と「相続」では、必要になる書類が変わるため、まずは自身がどちらに該当するかを明確にしておきましょう。
事業計画認定の名義変更手続きの流れ
事業計画認定の名義変更の手続きは、「電子申請」と「書面申請」の2種類があり、一般的な太陽光発電(50kw未満)であれば、「電子申請」が推奨されています。
また、紙面申請では審査に時間がかかるため、急いでいる方は電子申請を選ぶようにしましょう。
まずは、推奨されている「電子申請」の手続き方法について解説します。
- 「再生可能エネルギー電子申請システム」にアクセスし、新規ユーザー登録をする
- 旧オーナーのアカウントでログインし、変更したい事業認定の設備IDを検索し選択後、「変更認定」をクリックする
- 申請書類をPDFファイル、もしくはZIPファイルにて添付し登録する
- 旧オーナーのメールアドレスに変更内容が送信されるので、メールの指示に従って承認をしてもらう
- 旧オーナーの承認後、経済産業局へと変更申請が送付され審査が行われる
電子申請完了後は、2〜3ヶ月ほどで審査結果がメールで送られるので、忘れずに確認するようにしましょう。
電子申請について、より詳しい操作手順を知りたい方は、経済産業省が公開している操作マニュアルを参考にしてください。
次は、書面申請について解説します。
- 「申請様式のダウンロードサイト」から、自身に該当する申請書類をダウンロードする
- ダウンロードした申請書類を印刷後、必要事項を記入する
- 記入した申請書類と必要書類、返信用封筒を同封し、指定の送付先へと郵送する
書類に不備や記入漏れ等があると、再度提出しなければいけないため、最終確認は必ず行うようにしましょう。
売電契約の名義変更の手続き方法と必要書類
売電契約の名義変更の目的は、太陽光発電による売電収入の振込先口座を自身のものへと変更するためです。
この売電契約の名義変更で必要になる書類は、契約している電力会社によって異なるので、ここでは参考によくある必要書類について紹介します。
- 口座振替依頼書
- 電力受給契約申込書(低圧)
- 前所有者の氏名
- 太陽光発電システムの設置住所
手続き方法は、以下の方法で行います。
- 管轄の電力会社のホームページで必要書類を調べる
- 管轄の電力会社へ連絡し、売電契約の名義変更をしたい旨を伝える
- 電力会社の指示に従い申請をする
売電契約の名義変更は、各電力会社によって必要書類や手続き方法が変わるので、まずは管轄の電力会社のホームページを確認するか、電話で直接聞くようにしましょう。
土地登記簿の名義変更の手続き方法と必要書類
土地登記簿とは、土地もしくは建物の所有者を証明する書類です。
事業計画認定の名義変更と同じように、土地登記簿では「生前贈与を含む事業譲渡」と「相続」では必要になる書類が変わるため、それぞれ解説します。
生前贈与を含む事業譲渡で必要になる書類
まずは、土地登記簿の名義変更において、「生前贈与を含む事業譲渡」の場合に必要になる書類を紹介します。
- 贈与者:印鑑証明書、登記簿謄本、登記済権利証、固定資産評価証明書
- 受贈者:住民票
- 登記原因証明情報 ※贈与契約書など
生前贈与を含む事業譲渡で必要になる書類には、譲渡をされる側と譲渡する側で用意するものがそれぞれ変わるため、提出漏れがないよう準備を進めましょう。
相続で必要になる書類
次に、土地登記簿の名義変更において、「相続」の場合に必要になる書類を紹介します。
- 被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本、戸除籍謄本 ※附票も必要
- 相続人の住民票、戸籍謄本
- 登記申請書
「生前贈与を含めた事業譲渡」と「相続」では、必要になる書類が変わるため、まずは自身がどちらに該当するかを明確にしておきましょう。
土地登記簿の名義変更手続きの流れ
土地登記簿の名義変更の申請先は法務局になります。
先ほど紹介した必要書類を用意し、法務局の指示に従いながら申請を進めましょう。
また、上記の他にも書類が必要になる場合もあるので注意してください。
管轄の法務局が分からない場合は、下記サイトで確認しましょう。
土地登記簿の名義変更は、特に手続きが複雑なため、申請を代行してくれる太陽光発電業者や不動産業者、司法書士へと依頼するのをオススメします。
その他の名義変更の手続き方法
ここまで、特に重要な名義変更について紹介してきましたが、まだ他にもしておくべき名義変更があります。
それぞれ順番に解説していきます。
- 保険会社と契約している損害保険
- メーカー保証
- 定期メンテナンス契約
- 補助金
保険会社と契約している損害保険
太陽光発電システムは、自然災害などによる故障が想定されるため、損害保険に加入するのが一般的です。
そのため、旧オーナーが損害保険に加入している場合があります。
加入している保険によりますが、太陽光発電付きの住居を「相続」する場合は、権利継承を行うことで現在の保険をそのまま引き継ぐことができるかもしれません。
一方で、太陽光発電付きの住居を「生前贈与を含む事業譲渡」をする場合は、また新しく保険に加入する必要があります。
まずは、現在加入している保険会社へと連絡し、詳細な情報を聞くようにしましょう。
メーカー保証
太陽光発電システムを購入するとき、一般的には10年〜15年ほどのメーカー保証が付帯しています。
メーカーによって、名義変更で保証を引き継ぐことができるかどうか変わるため、まずは設置してある太陽光発電システムのメーカーに問い合わせましょう。
一般的にメーカー保証の名義変更で必要になる書類は、
- 名義変更書
- 保証書
上記のようなものになります。
定期メンテナンス契約
太陽光発電システムは、FIT制度を活用して売電収入を得る場合には、定期的なメンテナンスと報告が義務化されています。
そのため、太陽光発電の施工を依頼した業者に定期的なメンテナンスを依頼するのが一般的です。
太陽光発電の持ち主が変わるのであれば、メンテナンス契約をしている施工業者を旧オーナーから聞き、新たに契約を結ぶようにしましょう。
太陽光発電のメンテナンスの必要性について、さらに詳しく知りたい方は下記を参考にしてください。
補助金
太陽光発電システムを設置するときに、国や地方自治体から補助金を受け取っていた場合は名義変更の際に手続きが必要になります。
第三者に売買する際などでは、補助金の一部を返還しなければいけないケースもあるため注意が必要です。
手続き方法や必要書類などは、各補助金によって変わるため、公募していた事業者もしくは自治体へと確認するようにしましょう。
太陽光発電の名義変更をするときによくある質問
では、太陽光発電の名義変更をする際によく聞かれる質問について解説していきます。
以下の項目がよく聞かれる質問です。
- 太陽光発電の名義変更をしないとどうなる?
- 名義変更の申請にはどのくらいかかる?
- 太陽光発電の名義変更で贈与税は発生する?
- 名義変更すると売電価格や売電期間は変わる?
太陽光発電の名義変更をしないとどうなる?
太陽光発電の所有主が変更された際に名義変更をしないと以下のようになるので注意しましょう。
- 太陽光発電による売電収入が得られない
- 補助金の不正受給になる可能性がある
- 加入している損害保険が利用できなくなる
- メーカー保証が受けられない
- 施工業者とのメンテナンス契約でトラブルが起きる
- そもそも名義変更をしないと売買や相続ができない
名義変更の申請にはどのくらいかかる?
名義変更にはいくつか種類があると解説しましたが、その中でも特に「事業計画認定」は審査が完了するまでの時間が長いです。
事業計画認定の名義変更は、通常であれば2ヶ月〜3ヶ月ほどで終わりますが、場合によっては半年以上かかることもあります。
そのため、名義変更をする際は「事業計画認定」を最優先にし、余裕を持って申請するようにしましょう。
太陽光発電の名義変更で贈与税は発生する?
贈与税とは、個人から年間110万円を超える財産をもらった場合に、贈与を受けた個人に課税される税金のことです。
太陽光発電システムは、導入費用として100万円前後、蓄電池や高効率給湯器などの省エネ設備も含めると、贈与税の課税対象になる110万円を超えることがよくあります。
そのため、太陽光発電を相続する場合には、贈与税がかかるケースが多いです。
ただ、「緑の贈与」という優遇税制を利用することで、最大3000万円(基礎控除を含めると3110万円)の贈与税を非課税にできるため、ぜひ活用しましょう。
「緑の贈与」について詳しく知りたい方は下記を参考にしてください。
名義変更すると売電価格や売電期間は変わる?
事業譲渡や相続等により、太陽光発電の名義変更をしても売電価格や売電期間が変わらずに引き継がれます。
名義変更によって、売電価格が低くなったり、売電期間が短くなるということはありません。
例えば、前所有者が買取価格20円/kwのときに太陽光発電を設置して認可を受けていた場合は、名義変更しても20円/kwのまま売電できます。
また、売電期間が10年の住宅用太陽光発電システムで、5年間売電収入を得た後に譲渡した場合は、新しくその太陽光発電システムの所有者になる人の売電期間は5年になる、というわけです。
名義変更後に売電期間が残り少なく、その後にどうすればいいか不安な方は下記を参考にすると太陽光発電を最大限活用できるので、ぜひ参考にしてください。
太陽光発電の名義変更は代行業者に依頼するのが一般的
ここまで解説してきたように、太陽光発電の名義変更は複雑ですが個人でも手続きが可能です。
しかし、それぞれの名義変更では、必要になる項目や書類が大変多く、また専門的な知識が必要になるケースが多々あります。
そのため、適切に申請を行うのには、想像以上に労力と時間がかかるでしょう。
「申請の途中で専門用語が出るたびに調べ、やっと完成して提出しに行くと書類不備により再提出に…。」
私たち新日本エネックスに太陽光発電の名義変更で相談に来られる方は、上記のような状況の場合が多いです。
- 少しでも早く売電収入を得たい
- 申請方法が複雑で不安がある
- 名義変更の申請をする時間を確保できない
- 専門家のアドバイスが欲しい