近年では、SDGsをはじめ環境問題に取り組むために太陽光発電を導入する法人が増えているのをご存知でしょうか?
太陽光発電は企業にとって、環境問題への対策以外にも電気代削減や節税対策など、様々なメリットが多いです。
そこで本記事では、
- 太陽光発電についての基礎知識
- 法人が太陽光発電を導入するメリット・デメリット
- 太陽光発電による節税対策
- 法人が太陽光発電を導入する際の費用の目安
- 導入時に活用できる補助金
上記のようなことについて解説していきます。
この記事を読めば、法人が太陽光発電を導入するときに必要な知識を網羅できるので、ぜひお付き合いください。
【法人向け】太陽光発電についての基礎知識を分かりやすく解説
まずは、太陽光発電についての基本知識を法人企業向けに分かりやすく解説します。
太陽光発電とはその名前の通り、太陽光を利用して電力を作るシステムのことです。
家の屋根やビルの屋上、使用されていない土地など、空いているスペースを有効活用しながら生活に必須なエネルギーを生み出せます。
日本のエネルギーの約8割を担っている火力発電とは違い、太陽光発電は発電するのに二酸化炭素を排出せず、環境汚染の心配がないクリーンなエネルギーでもあるのです。
そのため、現在では国が主導して太陽光発電を全国的に普及させようとしており、導入する際には国や地方自治体からの補助金も受けられます。
また、太陽光発電で生み出した電力には用途が2つあり、
- 自社でそのまま使用する
- 電力会社へ売電する
上記のように2通りの方法があるのです。
自社でそのまま電気を使用する場合は、電力会社から電気を購入せずに済むので結果的に電気代の削減につながります。
一方で、電力会社へ電気を売る(売電)という方法もあり、これはFIT(再生可能エネルギー固定価格買取)制度という国が定めた制度によるものです。
FIT制度により、自社で発電した電力をあらかじめ決められた金額で、20年間電力会社へ売ることができ、太陽光発電による新しい収入源ができます。
太陽光発電の仕組みや種類について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
法人が太陽光発電を取り入れるメリット
では、法人企業が太陽光発電を導入する具体的なメリットについて紹介していきます。
主に以下のようなメリットがあります。
- 電気代を削減できる
- 売電収入を得られる
- 企業のイメージアップにつながる
- 停電などの非常時の電力源になる
- 節税対策になる
電気代を削減できる
太陽光発電を導入する最も大きなメリットは、電気代を削減できることです。
一般家庭とは違い、法人では使用する電力も多く、最近の電気代の高騰による影響を強く受けている会社様も多くおられます。
そこで太陽光発電を自社のビルや工場、マンション、空いている土地に設置することで、電力会社から購入する電気を買う量を減らせるのです。
ただ、太陽光発電は天気に発電量を左右されやすく、また夜間に発電できないことから、自社の電力を全て賄うのは難しいと言えます。
しかし、実際に太陽光発電を導入したおかげで、自社の電気代を30,40%ほど削減できた事例も複数あるため、太陽光発電による電気代削減での経済的なメリットは大きいでしょう。
売電収入を得られる
先述しましたが、太陽光発電では発電した電気を電力会社へ売ることができます。
これは、国がおこなっているFIT制度によるもので、クリーンな再生可能エネルギーを固定価格で一定期間は電力会社が購入することを義務付けたものです。
実際に、太陽光発電を投資目的で運用する企業も存在し、今までの事業収入にプラスして太陽光発電による売電収入をプラスできます。
売電収入により新たに収入源を増やせる、というメリットが太陽光発電にはあるのです。
売電収入は年々減少傾向にありますので、もし売電収入を目的にされている場合は早めの導入をオススメします。
企業のイメージアップにつながる
最近ではSDGsをはじめ、世界的に持続可能な社会を作るためにクリーンな再生可能エネルギーへの取り組みが活発になってきています。
そうした中で、環境問題に取り組む企業の評価は上がりやすく、太陽光発電の導入は対外的なアピールにつながるでしょう。
また、環境問題に配慮した企業は、国や自治体からも支持されるため、太陽光発電などへの取り組みにより補助金をはじめとした様々な支援を受けられます。
停電などの非常時の電力源になる
最近では自然災害などで長時間の停電が多く、対策を施しおかなければ大きな損失につながる可能性があります。
- 2006年:首都圏停電(139万軒が3時間の停電)
- 2011年:東日本大震災(400万軒が4日間の停電)
- 2016年:熊本地震(47万軒が数時間〜4日間の停電)
- 2018年:北海道東部地震(290万軒が数時間〜2日間の停電)
- 2018年:台風第21号(225万軒が数時間〜16日間の停電)
- 2019年:房総半島台風(93万軒が数時間〜2週間の停電)
上記は特に大きな停電の事例ですが、近年の自然災害への停電対策は企業にとって重要なものです。
万が一に備えて太陽光発電を設置しておくことで、停電時の電力源として活用できます。
昔の太陽光発電は、日光を電力へと変換するのに電気が必須でしたが、今では非常時でも発電できるように「自動運転モード」が搭載されているので停電時でも安心です。
また、蓄電池も同時に設置することで、日頃から余剰電力を貯められ、曇りなどで太陽光発電ができない時でも電力を供給できます。
太陽光発電の停電対策について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
>>停電対策に太陽光発電や蓄電池の導入がオススメな理由を徹底解説
節税対策になる
法人が太陽光発電を導入すると、様々な税制優遇を受けられ、結果的に節税対策になるでしょう。
太陽光発電を導入したときに使える代表的な税制優遇制度として、「中小企業経営強化税制」があります。
この中小企業経営強化税制では、太陽光発電設備の費用をその年度に全額計上できる「即時償却」と、費用を数年に分けて計上できる「税額控除」により、上手く活用すれば最終的な納税額を大きく減らせるでしょう。
太陽光発電の節税対策については、後ほど詳しく解説します。
法人が太陽光発電を取り入れるデメリット
法人が太陽光発電を導入するメリットの次は、デメリットについても触れておきます。
メリットとデメリットをよく検討して、太陽光発電を導入するかどうかを決めましょう。
主なデメリットは以下の通りです。
- 初期費用とランニングコストが発生する
- 反射光によりトラブルになる可能性がある
- 屋根に負担がかかる
- 自然災害などで故障する可能性がある
初期費用とランニングコストが発生する
太陽光発電は規模にもよりますが、工場や広い土地などに設置する場合は、数百万から数千万円以上の初期費用がかかります。
他の再生可能エネルギーに比べると安価な部類ではありますが、それでも数百万から数千万円という金額を簡単に投資できるものではないでしょう。
また、太陽光発電は導入した後のメンテナンス代を含めたランニングコストが発生することも忘れてはいけません。
太陽光発電はパネルの寿命が25年〜30年と長く、メンテナンスフリーであると誤解されやすいのですが、定期的なメンテナンスは必須です。
定期メンテナンスを怠ると、発電効率の低下や漏電、火災などが起きる可能性が大きくなります。
後ほど紹介しますが、太陽光発電のデメリットである初期費用を抑えるためにも補助金などを活用して、少しでも負担を軽くできるように対策をしましょう。
太陽光発電のメンテナンスについて詳しく知りたい方は下記を参考にしてください。
反射光によりトラブルになる可能性がある
太陽光パネルの設置場所や角度などによっては、反射光により近隣住民とトラブルになる可能性があります。
実際に、反射光が原因で裁判にまで発展したケースもあるため、太陽光パネルを工場の屋根や社屋に設置する場合は、トラブルにならないように細心の注意を払うようにしましょう。
施工業者によっては、見積もりの段階で周辺環境への影響をシミュレーションしてもらえます。
太陽光パネルの反射光による裁判について詳細を知りたい方は以下を参考にしてください。
>>「メガソーラーの反射光で熱中症!?」姫路訴訟の顛末|日経クロステック
屋根に負担がかかる
社屋や工場の屋根に太陽光パネルを設置する場合は、パネル一枚あたり約15〜20kgほどの負担がかかります。
建物の耐震性や老朽化具合によっては、見積りの段階で施工業者から断られる可能性もあるでしょう。
また、悪質な施工業者に依頼すると、屋根への負担を無視した施工が行われる危険もあり、
- 壁にヒビ
- 雨漏り
- 地震で崩落
上記のように、将来的に重大な事故の元になるかもしれません。
ですから、見積もりの際に施工業者に対して、屋根への影響があるかを質問して、しっかりと説明してもらえる業者に依頼するようにしましょう。
法人が導入する太陽光発電の種類
法人が導入する太陽光発電には大きく分けて2つの種類があります。
- 全量売電型の太陽光発電
- 自家消費型の太陽光発電
上記の2種類のどちらかを選ぶかによって、節税方法や優遇率が変わります。
具体的な節税方法は後ほど紹介しますが、まずは全量売電型と自家消費型の太陽光発電について、それぞれ解説します。
全量売電型の太陽光発電
全量売電型の太陽光発電は、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取)制度を利用し、発電した電力を電力会社に売却して収入を得るものです。
主に投資目的として導入され、売電収入は事業収入と見なされるため、自家消費型の太陽光発電よりも節税方法は限定されます。
最近では、FIT制度の買取単価の減少と電気代の高騰もあり、全良売電型よりも自家消費型の太陽光発電を選ぶ企業が増えています。
自家消費型の太陽光発電
自家消費型の太陽光発電は、発電した電力を全て自社で使用するもので、電気代削減や緊急時の電力源として期待できます。
太陽光発電のみで建物の電力を賄うことは難しいですが、電力会社から購入する電気を大きく減らせるでしょう。
基本的にはこちらの自家消費型の太陽光発電の方が、節税や税制優遇を受けられます。
法人が太陽光発電で節税する方法【中小企業経営強化税制】
先ほども少し触れましたが、現在は電気代やCO2を削減するために自家消費型に太陽光発電を導入する企業が増えています。
そして、この自家消費型の太陽光発電を導入する企業が受けている税制優遇制度として、「中小企業経営強化税制」というものがあり、今回はこの制度について紹介するので参考にしてください。
中小企業経営強化税制の優遇内容
中小企業経営強化税制は「設備投資減税」とも呼ばれ、特定の設備を導入した際に、
- 即時償却
- 税額控除
上記どちらかの支援を受けられる制度です。
即時償却は、太陽光発電の導入にかかった費用を初年度にまとめて計上できるので、その年の節税につながります。
本来であれば減価償却で何年かに分けて設備の経費を計上しますが、この即時償却を利用することで初年度に払う税金を抑えられ、素早く設備投資費用を回収できるでしょう。
そして税額控除は、特定の設備に対して払う税金を控除してもらえる税制優遇制度です。
制度を受ける企業の資本金によって控除率は以下のように変わります。
- 資本金3000万以下の企業…10%の控除
- 資本金3000万〜1億円以下の企業…7%の控除
即時償却と税額控除のどちらかを選ぶかは企業の経営方針によりますが、それぞれのメリットは以下の通りです。
- 即自償却…支払う税金の総額は変化しないが、すぐに節税効果を得られる
- 税額控除…すぐに節税効果は得られないが、払う税金の総額は減る
中小企業経営強化税制の対象になる条件
中小企業経営強化税制の対象となる企業の条件について解説していきます。
主な条件は以下の通りです。
- 確定申告を青色申告で行うもの
- 個人事業主もしくは中小企業者
- 対象となる事業であること
対象となる業者は、以下のように複数あります。
- 製造業、農業、建設業、漁業
- 小売業、倉庫業、湾岸運送業、ガス業
- 不動産業、広告業、宿泊業
- 医療・福祉事業、介護業
- 教育、学習事業
上記の他にも対象となる業種はありますが、全て紹介すると長くなるので省略しますが、条件について詳しく知りたい方は以下の資料を参考にしてください。
>>中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き|中小企業庁
法人が太陽光発電を導入するときに必要な費用の目安
法人が太陽光発電を導入する場合は、規模や事業形態によって費用が大きく変わってきます。
ここでは、工場を例に費用の目安について紹介するので導入時の参考にしてください。
まず、10kWを超える産業用太陽光発電の場合、1kWあたりのコストは25万円~50万円前後が一般的です。
例えば、中小規模の工場であれば100kW、大規模な工場であれば200kWまでのシステムが必要になる可能性があります。
つまり、それぞれの生産規模に応じた初期費用の目安は、中小規模の工場で2,500万円、大規模な工場では5,000万円となります。
ただ、あくまで上記の費用は屋根材や架台、パネルメーカー等は考慮されてない経済産業省の資料をもとにした設置費用の目安なので、最終的にはコストだけでなく、投資回収までの期間、施工業者の施工能力、保険やメンテナンスといったアフターフォローの充実度などを考慮して、全体的な費用を検討するべきでしょう。
参考:令和4年度以降の調達価格に関する意見|調達価格等算定委員
法人が太陽光発電を導入するときの注意点
では、法人の方がこれから太陽光発電を導入するときに注意することについて解説します。
主に以下のことに注意するようにしましょう。
- 売電価格が低くなっている
- 太陽光発電設備による事故への備えをしておく
- 悪質な施工業者に注意する
売電価格が低くなっている
FIT(再生可能エネルギー固定価格買取)制度を活用し、全量売電型の太陽光発電を始める場合は売電価格の単価が減少していることに注意しましょう。
以下の表は、最近のFIT価格の推移を表にしたものです。
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
18円 | 14円 | 13円 | 12円 | 11円 |
※事業用の太陽光発電10kw〜50kw未満を仮定
上記表のように、買取価格は年々減少傾向にあり、今後も下がり続けると予想されます。
2022年現在は、全国的に電気代の値上げが激しい状況にあり、太陽光発電を始めるのであれば全量売電型よりも自家消費型を選択する企業が増えています。
太陽光発電を導入する際には、昔のイメージで売電収入に頼らないように注意するべきでしょう。
太陽光発電設備による事故への備えをしておく
太陽光パネルは屋外に設置するため、自然の影響を大きく受けます。
そのため、自然災害による破損や故障、さらには火災などの事故が起きる可能性を想定しておく必要があります。
自然災害は予測が困難ですが、万が一の時のリスクを最小限に抑える備えをしておきましょう。
- 保証内容の充実したメーカーの設備を導入する
- 施工業者独自の保険に加入する
- 災害時に素早く対応してくれる施工業者に依頼する
上記のように、保険への加入や信頼できる施工業者に依頼し、リスクに備えておきましょう。
悪質な施工業者に注意する
太陽光発電を施工する業者の中には、少なからず悪質な業者も存在します。
- 相場よりも法外な工事費を請求してくる
- 初期費用以外にお金がかからないと嘘をつく
- 見積もりでシミュレーションを水増しする
- 施工技術が低く、すぐに不具合が起きる
- 補助金や節税に関する情報に詳しくない
上記のように、質の低い施工業者に依頼すると大きく損をする可能性があります。
法人が太陽光発電を導入する場合は、特に規模が大きくなるため、できるだけ施工実績が豊富な複数の業者から見積もりを出してもらい、見積もりを念入りに比較検討するようにしましょう。
法人が太陽光発電を導入するときに活用できる補助金
法人が導入する太陽光発電は、一般家庭と比較すると初期費用が高額になります。
国や地方自治体から支給される補助金を活用して、初期費用を少しでも抑えるようにしましょう。
ただ、2023年1月現在では、令和4年度の補助金は打ち切られている場合が多いのが現状です。また令和5年度の補助金も正式に発表されておりません
しかし、令和5年度でも同じような補助金が公募されると予想されるため、ここでは打ち切られた補助金も紹介します。
ですから、今年度に向けて補助金を活用するときの参考にしてください。
工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)
「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業」(SHIFT事業)は、工場・事業場に対して、CO2削減のための省エネ設備を導入する際に支給される補助金です。
この補助金には、以下の4つの制度があります。
- CO2削減計画策定支援(補助率:3/4 上限:100万円)
- 省CO2型設備更新支援(補助率:1/3 上限:1億円)
- 企業間連携先進モデル支援(補助率:1/3、1/2 上限:5億円)
- 補助事業の運営支援(委託)
>>令和4年度 工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業について|環境省
需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金
需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金は、需要家主導による新たな太陽光発電の導入モデルの実現を通じて、再生可能エネルギーの自立的な導入拡大を促進することを目的とした補助金です。
民間事業者等が太陽光発電設備を導入するための、機器購入等の費用について、2/3または1/2を補助するものです。
主な支給条件としては、
- 一定規模以上の新しく設置するものであること
- FIT/FIP制度、自己宅送ではないこと
- 需要家単独又は需要家と発電事業者と連携した電源投資であること
- 廃棄費用の確保や周辺地域への配慮を行うこと
上記のようなものになります。
詳しくは下記の資料を参考にしてください。
>>需要家主導による太陽光発電導入促進補助金|資源エネルギー庁
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法人が太陽光発電を導入すると電気代の削減をはじめ、以下のように様々なメリットがあります。
- 売電収入を得られる
- 企業のイメージアップにつながる
- 停電などの非常時の電力源になる
- 節税対策になる
この記事により、太陽光発電に興味を持たれた企業の方は、まずは施工業者に見積もりを出してもらい、実際にどれだけの効果があるのかをシミュレーションしてもらうのをオススメします。
新日本エネックスは太陽光発電をはじめ、様々な省エネ設備への豊富な施工実績があるため、お客様一人ひとりの要望に沿った最適なプランの提案が可能です。
- 具体的にどれくらいの利益が生まれるのか
- 初期費用に必要な金額はどれくらいか
- コストを回収するのに何年かかるのか
などを詳しく知りたい方は、ぜひ新日本エネックスへお気軽にご相談ください。