太陽光発電を初めて導入しようとしているものの、どんな種類があって、どう選べば良いのか分からないという人は多いのではないでしょうか?
自宅に合う最適な太陽光発電を選択して活用するには、基本的な知識から選び方まで理解しておく必要があります。ただし初めて導入する人にとっては、何を知っておくべきか分からないかもしれません。
今回の記事は、太陽光発電の知っておくべきポイントについて以下の内容を解説します。
- 太陽光発電の基礎知識
- 太陽光パネルの種類
- 太陽光パネルのメリット・デメリット
- 太陽光発電の導入ポイント
- 太陽光発電や蓄電池がおすすめな理由
- 太陽光発電と相性の良い機器
自宅に最適な太陽光発電が選べるように解説しているので、検討している人は参考にしてみてください。
太陽光発電とは
太陽光発電とは、自然エネルギーである「太陽光」を利用した発電方法です。燃料を使わない自然エネルギーを利用しているため、発電中はCO2を排出しません。発電した電気の活用方法は自家消費や電力会社への売電、蓄電池への充電などさまざまです。
太陽光発電の始まり
太陽光発電の歴史は古く、19世紀にアメリカの発明家が原型を発明したことに始まります。1839年にフランスの学者が「光起電力効果」という、金属板に光を当てると電気が発生する事象を発見しています。初めて実用化されたのは1958年で、アメリカが打ち上げた人工衛星「ヴァンガード1号」に搭載されました。ヴァンガード1号は宇宙に20日間滞在していましたが、主な電力は太陽光発電から得ていました。その後、日本に初めて導入されたのは1993年のことでした。
太陽光発電が普及している背景
日本に導入された当初は、住宅用として販売された価格は1kWあたり375万円という高額な費用が必要でした。当初は補助金がなく普及しませんでしたが、1994年から太陽光発電の補助金制度が作られたため導入する家庭が増えていきます。2000年以降からは生産性が向上したことでコストが下がり、より導入しやすくなりました。2009年からFIT(固定価格買取制度)がスタートし太陽光発電で創った電気を高く売ることが出来るようになり、2011年には東日本大震災が起きたことで、エコで災害時でも活躍する太陽光発電に注目が集まり、現在まで普及してきました。
太陽光発電の仕組み
太陽光発電では、どうやって電気を発電しているのでしょうか。ここでは、太陽光を電気に変換する仕組みを解説します。
なぜ太陽光発電で電気が作れるのか
太陽光発電で電気を作るには「半導体」に光が当たることで電気が作られます。この仕組みで電気が作れるのは、先ほど解説した光起電力効果によるものです。具体的には「N型半導体」と「P型半導体」が重ね合わせてあり、この接合面に光が当たるとN型側が「-」、P型が「+」になる性質を利用しています。この状態で電極をつなぐことにより、電気が流れるというわけです。
太陽光発電に必要な機器
太陽光発電の電気を利用するには下記の機器が必要になります。
- 太陽光パネル
- 接続ユニット
- パワーコンディショナー(太陽光発電用)
- 分電盤(太陽光発電用)
それぞれ解説します。
太陽光パネル
太陽王パネル(太陽電池モジュールともいう)は、太陽光を集めて電気を作るために必要なパネルです。屋根などの上に黒っぽい板のような物が乗っているのを見かけたことがあるかもしれませんが、あれが太陽光パネルです。太陽光パネルには「セル(太陽電池)」が並べられており、セルの多さによって発電できる量が変化します。
接続ユニット
接続ユニットは太陽光パネルで発電した電気を、パワーコンディショナーへ送るための機器です。雨に晒されないように、屋外のメンテナンスがしやすい場所に取り付けるのが一般的です。なかには太陽光パネルの枚数を調整した際に発生した電圧差を調整する「昇圧機能」が搭載されているモデルもあります。
パワーコンディショナー(太陽光発電用)
パワーコンディショナー(以下パワコン)は、発電した電気を家庭で使うのに必要不可欠な機器です。太陽光パネルで発電された電気は「直流(DC)」の状態であり、このままでは使用できません。この直流を電力会社から送られてくる電気と同じ「交流(AC)」に変換する必要があり、この役割を担っているのがパワコンです。また発電した電力を安定的に使えるように調節したり、停電などのトラブル時に太陽光発電を安全に止める「系統連系保護装置」などの機能も付いています。
分電盤(太陽光発電用)
パワコンで変換された電気を、最終的に家庭内で使用できるよう分配するための機器です。一般家庭ではすでに分電盤が設置されていますが、太陽光発電を行う際に専用の分電盤に交換または増設する必要があります。太陽光発電専用の分電盤が必要になる理由ですが、パワコンと接続するための回路や電力会社へ余剰電力を売電するための「逆潮流機能」などが搭載されているからです。
太陽光発電の寿命
太陽光発電の寿命は、一般的には20〜30年ほどと言われています。寿命を左右する要因として挙げられるのは太陽光パネルの汚れ、災害によるダメージ、経年劣化による腐食などが挙げられます。またパワコンの寿命は10〜15年ほどといわれています。災害によるダメージはコントロールできませんが、普段から定期的にメンテナンスをしたり、故障などが見つかれば保証で対処したりと、すぐにトラブルを解決することが大切です。
太陽光パネルの種類
太陽光パネルには以下の3つの種類があります。
- 化合物系
- 有機系
- シリコン系
それぞれ解説します。
化合物系
化合物系は主成分に銅、インジウム、セレンなどを用いており、シリコン系よりも発電量が10%ほどアップしたという実績があります。また年数が経っても発電効率が落ちにくいという特徴や生産コストの安さなどから今後、住宅用として普及する可能性があります。
有機系
有機系は有機物を原材料としています。化合物系やシリコン系で使用されているのは無機物です。有機系には薄くて軽く自由に曲げられる、着色できる、生産コストが低いといった多くのメリットがあります。一方で変更効率の悪さや寿命の短さもありますが、研究段階ということもあり将来的な普及が期待されています。
シリコン系
現在の太陽光パネルはシリコン系が主に普及しています。ケイ素を原料としており、大きな特徴としては「単結晶」と「多結晶」の2つが存在することです。
単結晶と多結晶の違い
シリコン系の単結晶と多結晶には、どんな違いがあるのかを解説します。
単結晶の特徴
単結晶は初めて開発された太陽光パネルです。単結晶インゴットを切り出したセルで構成されており、多結晶よりも純度が高いのが特徴です。純度が高いことで電力ロスが少なく発電効率が高いため、パネルの数が少なくても発電量を確保できます。日照量が少ない日でも発電効率が高いことで、多結晶よりも安定した電力が確保しやすいでしょう。一方でコストが高めで、真夏などの高温になる時期に弱い面もあります。
多結晶の特徴
多結晶は単結晶インゴットの切り屑を利用した、ポリシリコンから作られている太陽光パネルです。単結晶よりも純度が低い分、生産コストが安いのが特徴です。コストを抑えて広い敷地で太陽光発電を行いたい場合には有効です。一方で単結晶よりも結晶の並びに規則性がないため、発電効率が低いといった面があります。
太陽光発電のメリット
太陽光発電のメリットは以下のとおりです。
- 電気料金を削減できる
- 停電時に電気が使える
- 売電収入が得られる
- 断熱効果がある
それぞれ解説します。
電気料金を削減できる
太陽光発電は自然エネルギーを利用しているため、どれだけ発電しても電気料金は0円です。そして発電した電気を自家消費に当てることで、電力会社からの電気使用量を抑えることができます。結果的に抑えられた分の電気料金は安くなります。
停電時に電気が使える
太陽光発電には停電時でも電気が使用できるように「自立運転モード」が備わっています。停電時でも太陽光が取り込める天気の良い日中であれば、100V・1500Wまでの家電製品を使用することが可能です。ただし発電量が少なければ、使用できない家電製品も出てくることは知っておきましょう。
売電収入が得られる
太陽光発電で作った電気を電力会社へ売電できます。0円で作った電気を売電できるため収入につながります。ただし売電できるものの買取単価は年々下がっているため、自家消費で利用するほうがお得かもしれません。自家消費に利用しつつ余剰電力を売電するというスタイルも検討しましょう。
断熱効果がある
太陽光パネルには断熱効果が期待できます。夏の暑い時期は、屋根から入ってくる熱を太陽光パネルが遮ってくれます。冬は室内の熱が放射冷却によって、外部へ逃げるのを防いでくれます。部分的な断熱効果にはなるものの、電気も生み出してくれることを考えれば嬉しいメリットです。
太陽光発電のデメリット
太陽光発電のデメリットは以下のとおりです。
- 初期費用が高額
- 設置できない可能性がある
- 発電量が天候で変わる
それぞれ解説します。
初期費用が高額
太陽光発電の導入費用は高額です。経済産業省のデータによれば、2022年は1kWあたりの導入費用は平均25.9万円といわれています。一般家庭では平均で3kW〜5kWほど導入することが多いため、77.7~129.5万円ほどの費用が必要になります。とはいえ太陽光発電の導入費用は生産コストが下がっていることもあり、年々下がっている傾向にあります。さらに補助金も活用できる場合があるため、ある程度の費用は抑えることが可能です。
設置できない可能性がある
太陽光パネルは屋根の形状によっては設置できない可能性があります。例えば、複雑な屋根の形状をしていたり、設置できる面積が少なかったりする場合です。一方で、近年では複雑な屋根の形状や面積が少ない屋根でも設置できるように、コンパクトな太陽光パネルもあります。自宅に設置できるかどうかを業者に問い合わせてみるといいでしょう。
発電量が天候で変わる
太陽光という自然エネルギーを利用するため、天候が悪い日(日照量が少ない日)は発電量が下がってしまいます。常に安定した電力を供給できるわけではありませんが、年間を通してみれば日本は晴れの日が約7割ほどというデータがあるため、それほど心配しなくてもいいでしょう。
太陽光発電の導入で知っておきたいポイント
太陽光発電の導入で知っておくべきポイントは以下のとおりです。
- FIT制度
- 補助金制度
それぞれ解説します。
FIT制度
FIT制度は「固定価格買取制度」のことで、国が決めた単価で電気を売電できるという制度です。FITには満了期間が設定されており、設置している太陽光発電の出力によって決まります。10kW未満であれば10年、10kW以上であれば20年です。FITが適用されている期間は、売電を開始した当時の単価で売電を続けることができます。FITの期間が満了しても売電はできますが、単価が年々下がっているため売電収入が減ることは覚えておきましょう。
補助金制度
太陽光発電は導入費用が高額なため導入したくてもできない人のために、国や地方自治体が補助金を出している場合があります。補助金は年度や地域によって、補助金の有無や金額などの条件が異なりますので注意しましょう。
太陽光発電の選び方
太陽光発電を選ぶ際に意識したいポイントは以下のとおりです。
- 1kWの単価を見る
- 環境に合うパネルを選ぶ
- 信頼できるメーカーを探す
- 信頼できる業者を探す
それぞれ解説します。
1kWの単価を見る
1kW当たりの単価はコスパの良い太陽光パネルを選ぶ際のポイントです。理想は「1kWの単価と総額費用が低く、発電量が多い」ことです。1kWの単価は「設置総額費用÷パネルの発電量」で算出され、総額に対して発電量が多いほどコスパが良いということになります。ただし、設置容量が多くなるだけでも1kWの単価が低くなる点は注意しましょう。比較する際は「同じ設置容量」という条件で単価を出すといいでしょう。
環境に合うパネルを選ぶ
自宅の環境に合う太陽光パネルを選ぶのもポイントです。例えば、日照量が少ない地域で設置する場合は、日照量が少なくても発電効率が良いパネルを選択すべきです。屋根の形状が複雑であれば、コンパクトなパネルを選択して無駄のない設置をしたほうが良いでしょう。地域や自宅の屋根に合うパネルを探しましょう。
信用できるメーカーを探す
太陽光発電は、しっかりメンテナンスすれば20〜30年は稼働できます。さらに導入費用は決して安くはないため、信頼できるメーカーを選ぶのがポイントです。品質やアフターサポートなどで安心なのは国内の大手メーカーですが、その分は価格が高めになります。近年は、安価な海外メーカーでも高品質なパネルを提供しており、国内に拠点を置いてアフターサポートを充実させているメーカーもあります。さまざまなメーカーを検証してみるといいでしょう。
信頼できる業者を探す
太陽光発電の導入には専門業者の力が必要になります。高額な設備を設置するため、信頼できる業者を探すこともポイントです。業者の実績はもちろんですが、口コミ、接客態度、質問に対する回答、導入費用など、総合的に判断しましょう。費用費用に関しては必ず複数社から相見積もりを取って、相場を見極めた上で判断するようにしてください。
太陽光発電と相性が良い機器
太陽光発電と併用することで、より効果的に電気を活用できる相性の良い機器は以下のとおりです。
- 蓄電池
- V2H
それぞれ解説します。
蓄電池
蓄電池は電気を貯めておける機器です。リチウムイオン電池が使用されているため、太陽光発電の余剰電力や電力会社から購入した安い深夜電力などを貯めておくことができます。これらの電気を貯めておいて日中など消費電力のピーク時に使用すれば、電気料金を削減できます。また停電時には蓄電池に貯めている電気を使用して家電製品を使えるといったメリットもあります。太陽光発電と同時に導入したり、後付けしたりと導入の自由度が高いのも魅力です。
V2H
V2H(Vehicle to Home)は、電気自動車から自宅へ電気を供給するための機器です。太陽光発電と併用すれば、発電した電気をV2Hを介して充電できます。自然エネルギーで充電できるため電気代の削減につながるでしょう。また電気自動車にもリチウムイオン電池(バッテリー)が搭載されているため、停電時には貯めてある電気をV2Hを通して自宅へ電気を給電できます。
まとめ
太陽光発電は自然エネルギーである太陽光を利用して、電気を作り出すことができるエコな時代に適した機器です。電気代を削減する効果や停電時に活躍するなど、さまざまなメリットがあります。デメリットはあるものの、現在はある程度の解決策が用意されているため導入しやすいといえるでしょう。現在、研究開発中の種類もあるため、将来的にはさらにコスパの良い太陽光発電を導入できるようになるかもしれません。これから太陽光発電の導入を検討している人は、本記事で解説した選び方や導入のポイントなどを意識して頂き、後悔のないように導入しましょう。
新日本エネックスでは太陽光発電の施工事例が多数あります