アンペア(A)・ワット(W)・ボルト(V)の計算で電気代を抑えよう!
この記事の要約はこちら
・電気料金は消費電力と使用時間に依存します。
・アンペア(A)、ワット(W)、ボルト(V)の計算方法を理解することで、効率的に電力を使用できるようになります。
・家電の使用方法やメンテナンスで電気代を節約できます。
・太陽光発電や蓄電池の活用でさらなる電気代の削減が可能です。
▼ 目次
家庭にある電化製品のラベルや取扱説明書を見ると、アンペア(A)・ワット(W)・ボルト(V)などの単位を目にしたことがあるでしょう。
しかし、その単位が何を表すか、また何が理解できるのかを知らない方が多いと思います。
実はこれらの単位は、毎月の電気代と深く関わりを持つものであり、理解することで電気代の削減にもつながる可能性があります。
ということで本記事では、
- 電気とは、そもそも何か?
- アンペア、ボルト、ワットの意味と計算方法
- 電気の単位を活用して、家庭の電気代を削減する方法
- 電化製品の使用電力、料金を計算する方法
上記のようなことを解説していきます。
この記事は、電気のことについて詳しくない方でも安心して読めるよう分かりやすく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
電気についての基礎知識
アンペアやワット、ボルトについて解説をする前に、まずは「そもそも電気とは何なのか?」について知っておきましょう。
電気とは、物質内に存在する小さな粒子(原子や分子)の動きによって発生するエネルギーのことです。
少し難しい話になるのですが、世の中のあらゆる物質は原子によって構成されており、その原子には中央に核が存在し、周囲を電子というものが核に引き寄せられながら回っています。
原子の核を地球、電子を月として考えると分かりやすいかもしれません。
そして、核の中にはさらに中性子と陽子があり、陽子はプラスの電気を、電子はマイナスの電気を持っています。
通常であれば、プラスの電気を持つ陽子とマイナスの電気を持つ電子が同じ数あるため、互いに打ち消しあうので電気エネルギーとして働くことはありません。
しかし、電子の中には隣の電子へ移動しやすい性質を持つものがあり、そのような動き回る電子のことを自由電子と言います。
そして、この自由電子が動くことで電気の流れが生まれ、これにより電気が発生します。
つまり、電気の正体とは「電子の動き」なのです。
アンペア(A)・ワット(W)・ボルト(V)とは?
電気の正体について解説しましたが、日常で電化製品を使用する際によく、「アンペア(A)・ワット(W)・ボルト(V)」という単位を目にすることがあると思います。
ここでは、それぞれの電気を表す単位について解説します。
アンペア(A)の基礎知識
アンペア(A)は、電流の強さを表す単位です。
電流とは、電気がある物質内を流れるときに発生するエネルギーの流れのことを指します。
つまり、アンペアは電気が流れる速度や量を表す単位ということです。
アンペアについて、身近な例として電力会社との契約アンペア数があります。
電力会社の契約アンペアとは、住宅や事業所などで使用する電力量の上限を示すものです。
電力会社は、電気を供給する際に一定の電力を提供することができますが、消費者が使用する電力がその電力を超えた場合、ブレーカーが落ちて電力が供給されなくなることがあります。
そのため、電力会社は消費者との契約において、一定の電力量を約束することで、消費者が使用する電力量を制限しています。
この制限された電力量が、「契約アンペア数」となります。
契約アンペアは、使用する電気製品の数や種類、使用時間帯などによって異なり、例えば家庭用の一般的な契約アンペアは、20Aから30A程度です。
ただし、一般的な電化製品の使用だけでなく、エアコンや電気ストーブなど、消費電力の大きい機器を多数使用する場合は、より高い契約アンペアが必要になることがあります。
契約アンペアを超えた場合は、ブレーカーが落ちることがあるため、必要に応じて契約アンペアの増強を検討することが重要でが、契約アンペアを増強すると、電気料金が高くなる場合があるため、使用する電気製品や時間帯などを考慮して、適切な契約アンペアを設定するようにしましょう。
ボルト(V)の基礎知識
ボルト(V)は、電圧を表す単位です。
電圧とは、電気が流れる力の強さを指し、電気が流れる速度や方向を制御するために使用されます。
ボルトについても、身近な例では電力会社が定めるボルトを考えると分かりやすいでしょう。
電力会社は、住宅や事業所などに電気を供給する際にあらかじめ電圧を決めており、その電圧によって使用できる家電や機器が異なります。
一般的に、日本の電力会社が提供する家庭用電力の電圧は100Vです。
この100Vは日本の電力システムが単相交流方式であるために定められたもので、60Hzの周波数で供給されます。
ただし、一部の大型家電製品や産業用機器などには、200Vの電源が必要なものもあり、この場合、電力会社から200Vの電圧を供給するために、別途契約が必要になる場合があります。
また、海外の電力システムでは、日本と異なる電圧・周波数が使用されている場合があるため、海外に持参する電化製品を使用する場合には、電圧と周波数の違いに注意しましょう。
このように、ボルトは、家庭や事業所などで電気製品を使用するうえで重要なものです。
適切な電圧を選択することで、電気製品の故障や火災などの事故を防止し、安全に使用することができます。
ワット(W)の基礎知識
ワット(W)とは、電気の消費量を表す単位で、電力を意味します。
ワット数が大きいほど、電気を多く消費することになり、ワット数は「ボルト数とアンペア数の積」で求められます。
ワット(W)=ボルト(V) × アンペア(A)
具体的には、電圧(ボルト数)が100Vで、電流(アンペア数)が1Aの場合、消費電力は100Wとなります。
このように、電気製品の消費電力を知ることができれば、電気料金の見積もりや、使用中の電気代を把握できるため日常生活に役立つでしょう。
また、電力会社は一定期間に使用した電力量(kWh)に対して料金を請求するため、電気料金は、消費電力量(kWh)によって決まることも覚えておくと節電するときのヒントになります。
アンペア・ボルト・ワットの計算方法
アンペア・ボルト・ワットの計算方法について詳しく解説します。
【アンペアの計算方法】
アンペアは、電流の強さを表す単位であり、アンペア数は以下の式で求めることができます。
アンペア数 = 電流の大きさ ÷ 電圧
例えば、電圧が10Vで、電流が1Aの場合、アンペア数は1A ÷ 10V = 0.1A。
【ボルトの計算方法】
ボルトは、電圧の大きさを表す単位であり、ボルト数は以下の式で求めることができます。
ボルト数 = 電力 ÷ 電流の大きさ
例えば、電力が50Wで、電流が5Aの場合、ボルト数は50W ÷ 5A = 10V。
【ワットの計算方法】
ワットは、消費電力の大きさを表す単位です。ワット数は、以下の式で求めることができます。
ワット数 = 電圧 × 電流の大きさ
例えば、電圧が100Vで、電流が1Aの場合、ワット数は100V × 1A = 100W。
契約アンペアの変更で電気代が安くなる
アンペア(A)の基礎知識の項で少し紹介しましたが、電力会社との契約アンペア数を変更することで電気代を削減できる可能性があります。
ここでは、電力会社の契約アンペア数について詳しく解説するので、ご家庭の状況と合わせて参考にしてみてください。
電力会社の契約アンペア数とは?
電力会社の契約アンペア数とは、一般家庭や事業所などの電力使用量を定める指標の一つであり、電力会社は契約アンペア数に応じて、供給する電力量を制限します。
具体的には、契約アンペア数が小さい場合は、同時に使用できる家電製品の数や電力が少なくなり、一方で契約アンペア数が大きい場合は、同時に使用できる家電製品の数や電力制限は緩和されます。
ご家庭において、ブレーカーが落ちるという経験をされた方は多いと思いますが、これは電気ストーブやエアコン、ドライヤーなどの高電力な(必要アンペアの大きい)家電製品を同時に使用したことで、電力会社との契約アンペア数を電化製品の電力量の合計が超えてしまったためです。
このように、電力会社との契約アンペア数は、ご家庭の中で同時に使用できる電力量、つまり家電製品の数と深く関わっています。
そのため、一緒に暮らす家族の人数が増えた場合は契約アンペア数を必要に応じて増やす、などのように適宜変更するのがいいでしょう。
家庭に合わせた契約アンペア数を選ぶ方法
家庭の状況に合わせて電力会社との契約アンペア数を変更するのが理想です。
しかし、何を基準に、どのように契約アンペア数を変えるべきか、よく分からない方も多いと思うので詳しく解説します。
当然ですが、電力会社との契約アンペア数を大きくすると、ご家庭で同時に使用できる家電の数も増えますが、その分、電気代の基本料金が上がります。
そのため、生活に必要な分だけのアンペア数を契約することで、電気の基本料金を最低限に抑えられるでしょう。
ご家庭に合わせた最低限のアンペア数は、共に生活する家族の人数、使用する家電のアンペアを調べることで導き出すことができます。
参考までに、主要な家電のアンペアを紹介しておきます。
家電 | 必要アンペア |
エアコン(10畳用)※<>内は立ち上げ時のアンペア | 冷房:5.8A<14A>暖房:6.6A<20A> |
テレビ | 液晶42型:2.1Aプラズマ42型:4.9A |
掃除機 | 弱:2A強:10A |
ヘアードライヤー | 12A |
電子レンジ | 15A |
ドラム式洗濯機 | 洗濯時:2A乾燥時:13A |
食器洗い乾燥機 | 13A |
冷蔵庫(450L) | 2.5A |
上記などを参考に、家庭内において最大で同時にどれだけのアンペアの家電を使用するか、を考慮して、電力会社との契約アンペア数を決定しましょう。
ただし、先ほども解説したように、同時に使用するアンペアが契約アンペア数を超えるとブレーカーが落ちてしまうため、余裕を持たせるのがオススメです。
契約アンペア数を変更する手順
契約アンペア数の変更は、電力会社によって異なるため、ここでは参考として九州電力を例として解説します。
手順は以下の通りです。
- 九州電力のホームページで契約アンペアの変更申請をする。 ※インターネット申し込み、もしくは電話で申請。
- 変更日、変更内容、お客様番号、供給地点特定番号などの必要事項を入力する
- 申し込み完了 ※契約アンペア変更時、工事が必要な場合有り
上記のように、必要な情報さえあれば簡単に契約アンペアは変更できます。
ただし、アンペアの変更してから1年間は原則的に変更できないため注意しましょう。
参考として、スマートファミリープランでの各アンペアの基本料金を紹介しておきます。
※2023年4月1日以降
契約アンペア | 基本料金(円) |
10A | 316.24 |
15A | 474.36 |
20A | 632.48 |
30A | 948.72 |
40A | 1,264.96 |
50A | 1,581.20 |
60A | 1,897.44 |
参考:九州電力公式ホームページ
電化製品の電気料金を計算して無駄をなくそう
本記事で解説した電力の計算を活用すれば、どの電化製品がどれだけの電力を使用しているかが理解できます。
そして、消費電力の多い電化製品の使用を抑えることで電気料金を効率的に抑えられるようになるでしょう。
電化製品ごとの消費電力を調べるには、まずその家電のワット数(W)を調べなければいけません。
ワット数は、製品に貼られているラベルか取扱説明書に記載されているか、もしくはインターネット検索で見つけましょう。
もし、ワット数ではなくアンペア(A)が記載されている場合は、本記事で紹介した以下の計算方法で求めます。
ワット数(W) = アンペア(A) × ボルト数(V)
ボルト数は基本的に、日本の一般家庭においては100ボルトだと思って大丈夫です。
つまり、10Aの家電製品のワット数を求めるときは、
「10A × 100V = 1,000W」になります。
そして、ワット数(消費電力)がわかったのであれば、その家電を1日にどれくらいの時間使用しているかを考えましょう。
例えば、200Wの消費電力のテレビを1日に3時間(h)見るとすれば、
200W × 3h = 600Wh
また、電気料金はkW単価で計算されるので、600Whを1,000で割って0.6kWhと直しましょう。
電気料金がkW単価30円かかるとすれば、
0.6kWh × 30(円) = 18円
つまり、2,000ワットのテレビを1日3時間使用すると、1日あたり18円の電気料金になるわけです。
そして、1ヶ月で計算すると540円の料金がかかります。
このように、身の回りの家電が1ヶ月にどれくらいの電気料金になっているかを考えると、どの家電の使用を優先的に控えるべきか理解できるので、調べてみると面白いかもしれません。
アンペア(A)などについてよくある質問
では、最後にアンペアなどについてよく寄せられる質問について回答します。
主な質問は以下の通りです。
- 家族構成別の必要アンペア数の目安は?
- 主要な電気会社のアンペア数別の基本料金はどれくらい?
家族構成別の必要アンペア数の目安は?
家族構成によって必要な契約アンペア数は異なりますが、一般的な目安としては以下のようになります。
- 1人暮らし:20A
- 2人暮らし:30A
- 3人暮らし:40A
- 4人暮らし、もしくは消費電力の大きな家電を使用する場合:50A
- 5人以上の家族、もしくはオール電化の世帯:60A以上
ただし、この目安は一般的な電化製品の使用を想定したものであり、家庭によって異なる場合があります。
特に、大型の電気機器やエアコン、IHクッキングヒーターなどを使用する場合は、契約アンペア数を上げる必要があるでしょう。
そのため、自分の家庭で使用している電化製品の消費電力を確認し、実際に必要な契約アンペア数を計算することをおすすめします。
主要な電気会社のアンペア数別の基本料金はどれくらい?
主要な電力会社として、ここでは東京電力・関西電力・北海道電力・九州電力についてアンペア数別の基本料金を紹介します。
※2023年4月以降の料金
(円) | 東京電力 | 関西電力 | 北海道電力 | 九州電力 |
10A | 295.24 | ※アンペア契約ではなく、最低料金制 最低料金は、15kWhまで341.01円 | 341 | 316.24 |
15A | 442.86 | 511.5 | 474.36 | |
20A | 590.48 | 682 | 632.48 | |
30A | 885.72 | 1,023 | 948.72 | |
40A | 1,180.96 | 1,364 | 1,264.96 | |
50A | 1,476.20 | 1,705 | 1,581.20 | |
60A | 1,771.44 | 2,046 | 1,897.44 |
参考:東京電力公式ホームページ
アンペア(A)・ワット(W)・ボルト(V)の計算を知って電気代を抑えよう!
電気について表す単位である「アンペア(A)・ワット(W)・ボルト(V)」について解説してきました。
少し情報量が多くなったのでまとめておきます。
アンペア(A) | 電流 | 電気が流れる量を表す |
ボルト(V) | 電圧 | 電気の強さを表す |
ワット(W) | 消費電力 | 消費する電気エネルギーを表す |
そして、それぞれの計算式は以下の通りです。
アンペア(A) = ワット(W) ÷ ボルト(V)
ボルト(V) = ワット(W) ÷ アンペア(A)
ワット(W) = アンペア(A) × ボルト(V)
上記で解説した電気の単位、計算式を知ることで身の回りの家電製品がどれくらいの電力を消費しているか、またそれぞれの電力料金も理解でき、電気代を抑えるために効率的な節電方法を導き出せるでしょう。
ご家庭の電気代を削減するために、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。