「四国電力は、なんで電気料金を値上げしたの?」「電気代を抑える効果的な対策はないかな?」といった疑問を持っている人はいるのではないでしょうか?
四国電力は2023年4月から電気料金の値上げをするため、毎月の負担が増える可能性があります。そのため電気料金の値上げ事情を知っておき、実践できることから節電対策をおこなうことが大切です。
今回の記事では、四国電力が電気料金の値上げに踏み切った理由や改正された内容、取り組みたい節電対策などを分かりやすく解説します。本記事を読むことで値上がりする電気料金への理解が深まり、効果的な節電ができるようになります。ぜひ参考にしてみてください。
四国電力が2023年4月から電気料金を値上げする理由
四国電力は2023年4月から電気料金を値上げすることを経済産業大臣に申請しました。値上げした理由は「高騰する燃料費」によるものです。四国電力は高騰する燃料費に対して特別高圧や高圧、一部の低圧自由料金の「燃料費調整額」の上限を撤廃するなどの企業努力をしていました。
しかし予想以上に燃料費の高騰と円安が継続しており、企業努力だけではまかないきれない状況になっています。このような状況では電力の安定供給が継続しづらいことから、平均28%の値上げに踏み切っています。
※参考:四国電力
四国電力の電気料金改定の内容と影響額
四国電力が改定した電気料金については以下の内容です。
- 規制料金の値上げの内容と影響額
- 基準燃料価格と基準単価の見直しの影響
それぞれ解説します。
規制料金の値上げの内容と影響額
四国電力が値上げ申請した、家庭用の主な規制料金に対する値上げと影響額は以下のとおりです。
料金プラン | 区分 | 値上げ前単価 | 値上げ後単価 | 差額 | |
従量電灯A | 最低料金 | 1契約につき最初の11kWhまで | 439.40円 | 532.68円 | +93.28円 |
電力量料金 | 11kWh~120kWhまで(1kWhつき) | 22.92円 | 31.40円 | +8.48円 | |
120kWh~300kWhまで(1kWhにつき) | 29.54円 | 38.02円 | +8.48円 | ||
300kWh~(1kWhつき) | 33.05円 | 41.53円 | +8.48円 | ||
従量電灯B | 基本料金 | 契約容量1kVAにつき | 374.00円 | 374.00円 | - |
電力量料金 | 120kWhまで(1kWhにつき) | 19.52円 | 28.00円 | +8.48円 | |
120kWh~300kWhまで(1kWhにつき) | 25.05円 | 33.53円 | +8.48円 | ||
300kWh~(1kWhつき) | 27.97円 | 36.45円 | +8.48円 | ||
定額電灯 | 需要家料金 | 1契約 | 71.50円 | 71.50円 | - |
電灯料金 | 10Wまでの1灯につき | 105.58円 | 138.59円 | +33.01円 | |
10W~20Wまで(1灯につき) | 163.87円 | 229.89円 | +66.02円 | ||
20W~40Wまで(1灯につき) | 280.45円 | 412.46円 | +132.01円 | ||
40W~60Wまで(1灯につき) | 397.02円 | 595.03円 | +198.01円 | ||
60W~100Wまで(1灯につき) | 629.07円 | 959.12円 | +330.05円 | ||
100Wをこえる1灯につき50Wまでごとに | 314.54円 | 479.56円 | +165.02円 | ||
小型機器料金 | 50VAまで(1機器につき) | 278.14円 | 376.70円 | +98.56円 | |
50VA~100VAまで(1機器につき) | 446.26円 | 643.40円 | +197.14円 | ||
100VAをこえる1機器につき50VAまでごとに | 223.14円 | 321.70円 | +98.56円 |
料金プラン | 区分 | 適用範囲 | 値上げ前単価 | 値上げ後単価 | 差額 |
低圧電力 | 基本料金 | 契約電力1kWhにつき | 1,116.50円 | 1,116.50円 | - |
電力量料金 | 夏季(1kWhにつき) | 18.35円 | 26.83円 | +8.48円 | |
その他の季節(1kWhにつき) | 16.91円 | 25.39円 | +8.48円 |
※参考:四国電力
※消費税、燃料費調整額を含む
このように四国電力では最低料金や電力量料金、電灯料金などを値上げしています。電力量料金に関しては軒並み+8.48円の値上げ幅となっているのが特徴です。また一般的な電力使用量の家庭では1カ月あたりの電気代が、2,205円増加すると予想されています。
※参考:NHK NEWS WEB
基準燃料価格と基準単価の見直しの影響
四国電力は規制料金だけではなく、以下のように基準燃料価格と基準単価の見直しも行いました。
見直した価格・単価 | 改定前 | 改定後 | 差額 |
基準燃料価格 | 26,000円/kl | 80,300円/kl | +54,300円/kl |
基準単価 | 0.196円/kWh | 0.161円/kWh | -0.035円/kWh |
※参考:四国電力
基準燃料価格は、電力会社が初めに定めた平均燃料価格(燃料費調整額の算出に必要な価格)のことです。基準単価は、平均燃料価格の実績が1klあたり1,000円変動した際の単価です。
基準燃料価格が上がっていることで平均燃料費価格の上限が上がっている(基準燃料価格の1.5倍)ことから、電気代の負担も増えることが予想されています。
電気料金が値上げされる主な3つの原因
四国電力のように電気料金を値上げせざる負えないのは、以下の3つの原因が挙げられます。
- 再生可能エネルギーの普及による再エネ賦課金の増加
- ウクライナ情勢の影響による燃料費調整額の高騰
- 電力事情の影響にともなう電力供給の減少
それぞれ解説します。
再生可能エネルギーの普及による再エネ賦課金の増加
再エネ賦課金の増加が電気代の負担になっています。国は2050年までにCO2(二酸化炭素)の排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指しています。そのために現在、力を注いで推進しているのが太陽光発電などの再生可能エネルギー(以降、再エネ)の普及です。
再エネを普及させる一環としておこなっているのが、再エネで発電した電気を買い取るための「FIT制度」です。そして電気を買い取るための費用として、電力会社と契約している家庭から支払ってもらっているのが「再エネ賦課金」です。
再エネ賦課金は再エネが普及して買電量が増えるほど上がっていくため、2012年度には0.22円 / kWhだったのに対して2022年度は3.45円 / kWhと増加しています。現状では2023年まで再エネ賦課金の増加が見込まれており、電気代の負担となることが予想されています。
※参考:新電力ネット
ウクライナ情勢の影響による燃料費調整額の高騰
ウクライナ情勢にともなう燃料費調整額の高騰も電気代が値上げされる大きな原因です。日本は火力発電に約7割以上頼っている現状があります。火力発電には「液化天然ガス、石油、石炭」といった化石燃料が必要です。
これらの化石燃料はウクライナ情勢の影響で予想以上に高騰しているため、化石燃料のほとんどを輸入に頼っている日本の電力会社は負担が増加しています。経営努力では追いつかないほどの燃料費の高騰により、電力会社は規制料金などの値上げや燃料費調整額の上限を撤廃する動きを見せています。
ちなみに燃料費の高騰は、エネルギー大国であるロシアの輸出入制限によるものです。また日米の金利差による円安の影響も大きく関わっています。ウクライナ情勢や円安の動きは2023年以降も長期化することが予想されており、家計への負担が懸念されています。
電力事情の影響にともなう電力供給の減少
電気代の値上げは日本国内の電力事情による影響もあります。1つ目は2011年に起きた東日本大震災の影響にともなう原発の廃炉や停止によるものです。日本はこれまで21基の原発を廃炉にしており、停止していたものもあります。
そのため日本の電力発電量は2010年から2020年にかけて、約1割ほど減少しています。そのなかで原子力の割合は2010年で約25%だったのに対し、2020年には約4%まで縮小しました。
またカーボンニュートラルを目指すために火力発電の縮小もおこなっています。国は「第6次エネルギー基本計画」において、現在の約76%から約41%くらいまで減少させることを明記しています。電力の需要に対して供給が減っていくことも、電気代が値上がりする原因の一つです。
※参考:電気事業連合会
※参考:経済産業省
国は電気代の値上げでどんな対策をしているのか
ウクライナ問題や円安、再エネ賦課金など、さまざまな問題で値上がりする電気代。国はこのような電気代の値上げに対して、以下のような激変緩和対策をおこなっています。
電気・ガス価格激変緩和対策事業
国が2023年2月請求分から実施している「電気・ガス価格激変緩和対策事業」では、以下のような値引き額が電気代から差し引かれています。
- 低圧(主に家庭用):7円 / kWh
- 高圧(主に企業用):3.5円 / kWh
標準世帯(月の電力使用量400kWhの場合)では、月に2,800円も電気代が安くなります。実際に電力会社のほとんどが、2月請求分からの電気代が前月よりも安くなるパターンが増えています。
しかし激変緩和対策は2023年9月使用分までという期間限定であり、10月請求分は値引き額が半分になります。そのため電気代の値上がりが続くことで、負担が増えていくことが予想されています。
6つの節電対策で電気代の値上げを乗り切ろう
燃料費の高騰や円安など個人ではコントロールできない状況で、私たちができるのは以下のような6つの節電対策です。
- 料金プランなどを見直す
- 家電製品の設定などを見直す
- 夏や冬に活躍するグッズの活用
- 省エネ家電の買い替えを検討する
- 節電意識を持った生活をする
- 太陽光発電で自家消費を高める
それぞれ解説します。
料金プランなどを見直す
根本的に料金プランや電力会社を見直すことで、節電効果が生まれる可能性があります。まずは過去1年間の電気代を把握しましょう。把握した平均額と他の電力会社との料金を比較して、安くなれば乗り換えを検討してみてください。
現在、契約している電力会社が旧電力であれば安い新電力を調べてみましょう。また料金プランやアンペア数を見直すことでも、電気代が安くなるかもしれません。
家電製品の設定などを見直す
なんとなく使用している家電製品でも、正しい使い方や設定を見直せば節電につながります。例えばエアコンで節電する場合は「夏は28度、冬は20度」といったように温度調節をしてみましょう。
その他にも、各家電製品の「エコモード」などを活用したり、明るさや温度の強さを下げて使用したりすることでも節電につながります。細かいことでも積み重なれば目に見えて節電効果が出やすくなるでしょう。
夏や冬に活躍するグッズの活用
夏や冬に最適な節電グッズを活用すると、節電できることがあります。夏や冬は消費電力が大きい冷暖房機器の使用頻度が多くなるため、電気代が上がりやすくなります。そのため、なるべく冷暖房機器を使用しなくても快適になるグッズを探してみましょう。
例えば発熱や冷感素材のインナーを着たり、熱の逃げ道となる窓には断熱カーテンを付けることで体温や室温を維持しやすくなるでしょう。他にも電気ブランケットや扇風機保冷剤などのグッズがあるため、いろいろ探してみると楽しいかもしれません。
省エネ家電の買い替えを検討する
古い家電を最近の省エネ家電に買い替えることでも電気代を削減できます。年々、家電製品の省エネ性能は飛躍的に向上しています。特に10年以上前の古い家電製品では、最近の省エネ家電よりも2倍近く消費電力が多くなるかもしれません。
例えば冷蔵庫では2006年のものと2016年のものを比べると、省エネ効果は約-47%も削減できる可能性があります。またテレビや温水洗浄便座でも、6〜10年前のものと比べて得られる省エネ効果は約30%です。ぜひ買い替えを検討してみてください。
節電意識を持った生活をする
家族全員で協力して節電意識を持つことでも節電につながるでしょう。例えば夕方以降の電力使用量が多い家庭であれば、早めに寝るという生活を意識してみてください。深夜電力が安くない料金プランの家庭では、電気代の削減がしやすくなります。
また家族の在宅率が多い時間帯は各自の部屋でそれぞれ過ごす時間を減らして、一つの部屋に集まって過ごすことでも節電につながります。家族全員で節電意識を持った生活をすれば、自ずと電気代を減らせる可能性が高くなります。
太陽光発電で自家消費を高める
電気代を大幅に抑える方法として有効なのが、太陽光発電の導入で電気の自家消費を高めることです。0円で作れる太陽光発電の電気を活用すれば、電力会社からの買電量を減らして電気代を削減しやすくなります。
また太陽光発電に加えて蓄電池の導入も節電対策に有効です。昼間は太陽光発電で自家消費をしつつ、余剰電力を蓄電池へ蓄えておきます。太陽が沈んだ夕方以降や雨の日などは、蓄電池に蓄えて電気を活用すれば電気代を抑えられるでしょう。
まとめ
四国電力は2023年4月から電気代の値上げを行う予定です。電気代を値上げする原因はウクライナ問題による燃料費の高騰や円安、再エネ賦課金の上昇、国内の電力供給不足によるものです。これらの原因の多くは長期化することが予想されており、今後も電気代の負担が家計を圧迫する可能性があります。
国は激変緩和対策として電気代の値引きを実施していますが、期間限定なので先行きは不透明といえるでしょう。このような事態になっている今、私たちは自らの努力で節電していくことが求められています。当記事で紹介した節電対策を参考にしていただき、早めに行動していくことをおすすめします。