鉛蓄電池とは?仕組みや用途、メリットを分かりやすく解説
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・鉛蓄電池の基本情報として、1859年に発明され、二次電池の一種で、充電可能な蓄電池として広く使用されている。 ・特徴としては、コストが安価で、幅広い温度範囲で動作し、自動車バッテリーや産業用非常電源装置、小型飛行機などに使用される。 ・メリットは、リサイクル可能で安価、大きな起電力を持ち、長時間の放電でも安定した性能を発揮する。 ・デメリットは、重量とサイズが大きく、使用頻度によって性能が低下し、破損時には希硫酸が漏れる危険がある。 ・主要メーカーとして、東洋システム、古河電池、GSユアサの3社があり、それぞれ高性能な鉛蓄電池を製造している。
▼ 目次
鉛蓄電池は1859年にフランスのガストン・プランテにより発明され、現在でも多くの場面で私たちの暮らしを支えてくれています。
しかし、そんな長い歴史を持つ鉛蓄電池について仕組みや用途など、あまり知らない方も多いでしょう。
そこで本記事では、
- 鉛蓄電池とはどのようなものなのか
- 鉛蓄電池の主な用途
- 鉛蓄電池のメリット・デメリット
- 販売するメーカーの特徴
上記のようなことを解説していきます。
この記事を読めば、鉛蓄電池について基本的な知識を得られるので、ぜひ参考にしてみてください。
鉛蓄電池とは?
鉛蓄電池とは、鉛を用いた二次電池のことです。
二次電池は、充電することで繰り返し使用できるもので、充電池や蓄電池のことを指します。
鉛蓄電池の仕組みを分かりやすく解説すると、大きな箱の中を希硫酸という電気を通しやすい液体(電解液)で満たし、その中に正極(二酸化鉛)と負極(海面上の鉛)を入れることで、希硫酸と鉛が化学反応を起こし充電と放電を行うものです。
以下の画像を参考にすると分かりやすいでしょう。
参考:二次電池の放電(イメージ図)|アイアール技術者教育研究所
鉛蓄電池の特徴
鉛蓄電池は、比較的コストが安価で、しかも幅広い温度範囲で動作するため、様々なシーンで活躍できるのが特徴です。
また、過充電にも強いと言われており、1859年に発明されてから現代まで使われているため使用実績の豊富さも強みでしょう。
充電から放電を1サイクルとしたときに、1サイクルあたり3000回以上の利用可能サイクル数を有し、年数に換算すると約17年という長い寿命を持っています。
鉛蓄電池の主な用途
では、鉛蓄電池は具体的に、どのような場面で使用されているのかを紹介します。
主な用途は以下の通りです。
- 自動車のバッテリー
- 産業用の非常用電源装置
- 電動フォークリフト
- 小型飛行機
- 電子楽器や照明用品などの小型の電源
上記のように、鉛蓄電池は日々の暮らしを支える非常に頼りになる蓄電池です。
鉛蓄電池のメリット
では、鉛蓄電池にはどのようなメリットがあるのかを紹介していきます。
鉛蓄電池の主なメリットは以下の通りです。
- リサイクル可能で安価に供給できる
- 大きな起電力を持っている
- 長時間の放電でも安定した性能を保つ
リサイクル可能で安価に供給できる
鉛蓄電池のメリットの1つ目は、リサイクル可能で安価に供給できることです。
鉛蓄電池の原材料となる鉛は、安い価格で多くの量を入手しやすく、使用済みであってもほとんどの部分を再利用できます。
そのため、他の蓄電池と比較すると、鉛蓄電池はコストパフォーマンスの面で優れた蓄電池と言えるでしょう。
大きな起電力を持っている
鉛蓄電池のメリットの2つ目は、大きな起電力を持っていることです。
起電力とは、電池や発電機における、電流を流そうとする力の強さのこと。
つまり、自動車や電動フォークリフトのように、大量の電力を必要とするものにとって、鉛蓄電池は非常に適しているのです。
長時間の放電でも安定した性能を保つ
鉛蓄電池の3つ目のメリットは、長時間の放電でも安定した性能を保つことです。
他の蓄電池に比べると、使用可能な温度範囲が広く、様々な場面で安定した性能を発揮できます。
鉛蓄電池のデメリット
では、次に鉛蓄電池のデメリットについて紹介します。
主なデメリットは以下の通りです。
- 重くて大きいため用途が限定される
- 使用頻度によって性能が低下する
- 破損時に危険を伴う
重くて大きいため用途が限定される
鉛蓄電池は、自動車や電動フォークリフトに使用されるように、多くの電力を発揮する反面、サイズと重量が他の蓄電池と比べると大きいです。
ですから現在は、スマートフォンやパソコンなどの小型機器にはリチウムイオン電池というものが主流になっています。
先ほども解説したように、鉛蓄電池には多くのメリットがありますが、その重量やサイズによって用途が限定されるため、様々な電子機器が小型化されている現在では大きなデメリットになるでしょう。
使用頻度によって性能が低下する
鉛蓄電池を放電した状態で放置すると、サルフェーションと言う現象が起こり、蓄えられる電気の容量が低下します。
そして、その劣化した鉛蓄電池を元の状態に戻すことが不可能になるので注意しなければいけません。
また、サルフェーションを防ぐために炭素微粉末やリグニン、ゲルマニウムなどの添加剤が使用されますが、それでも劣化を完全に防ぐことはできません。
破損時に危険を伴う
鉛蓄電池は、内部が希硫酸という電解液で満たされています。
希硫酸とは簡単にいうと、硫酸の濃度を薄めたものです。
そのため、硫酸ほどの危険性はありませんが、皮膚に付着したまま放置すると炎症を起こす危険があります。
先ほど解説したように鉛蓄電池はサイズ・重量ともに大きいため、運搬の際に破損して希硫酸が周囲に飛び散る危険が伴います。
もし、肌に付着した場合には、すぐに流水で丁寧に洗い流し、場合によっては医師の判断を仰ぐようにしましょう。
鉛蓄電池を販売するメーカーの特徴
鉛蓄電池は様々なメーカーが取り扱っており、それぞれの特徴について解説します。
これから鉛蓄電池を導入しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- 東洋システム株式会社
- 古河電池株式会社
- 株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション
東洋システム株式会社
東洋システム株式会社は平成元年に設立され、鉛蓄電池をはじめリチウムイオンバッテリーやニッケル水素バッテリーなどの電池を製造しているメーカーです。
また、東洋システムは常に最新の技術を採用しており、より高性能・高品質な電池を開発しており、さらには環境保護にも配慮していて、省エネルギーな電池を製造することで環境に優しい製品を提供しています。
そして、東洋システムは社会貢献にも尽力しており、国から名誉ある「紺綬褒章受章」を受章しているのも特徴です。
東洋システム株式会社について、さらに詳しく知りたい方は以下の公式ホームページをご覧ください。
古河電池株式会社
古河電池株式会社は、1914年に設立された古河電気工業株式会社の電池部門が1950年に独立し発足した会社です。
主要製品としては、自動車や二輪車、また航空機や船舶用の鉛蓄電池をはじめ、アルカリ蓄電池やリチウムイオン電池などを開発・販売しています。
そして、古河電池は「常に挑戦者であり続けること」をスローガンにしており、永年にわたり培って来た技術力を核にして、絶え間ない革新を図り、持続的な成長と中長期的企業価値の向上を目指し、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献することを基本理念にしています。
古河電池株式会社の製品を詳しく知りたい方は、以下の製品ページで紹介されているので参考にしてください。
>>産業用蓄電池|製品情報|古河電池株式会社公式ホームページ
株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション
株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション(以下GSユアサ)は、共に100年近い歴史を持つ「日本電池(GS)」と「湯浅蓄電池製造(ユアサ)」が2002年に経営統合して生まれた世界的にトップクラスの総合二次電池メーカーです。
身近な自動車用の鉛蓄電池から、国際宇宙ステーションや宇宙ロケット、さらには有人潜水調査艇に搭載するリチウムイオン電池にGSユアサの製品が採用されるなど、世界規模で活躍しています。
GSユアサについて、さらに詳しく知りたい方は以下の公式ホームページをご覧ください。
鉛蓄電池の導入がオススメできる状況
鉛蓄電池は、他の蓄電池と比較すると1つあたりの電力容量に対して価格が非常に安く、コストパフォーマンスに優れていることが鉛電池の特徴として挙げられます。
また、過充電にも強く耐えられる温度範囲も広いため、
- 自動車のバッテリー
- 産業用の非常用電源装置
- 電動フォークリフト
- 小型飛行機
- 電子楽器や照明用品などの小型の電源
上記のようなものに主として使用されます。
しかし、使用頻度が高いと徐々に性能が低下してしまい、寿命が短くなってしまうことや破損時に内部の希硫酸が漏れる危険もあるため注意が必要です。
リチウムイオン電池やNAS電池など、他の電池と比較したい方は、下記を参考にしてください。
鉛蓄電池についてよくある質問
最後に鉛蓄電池についてよく聞かれる質問の回答を行います。
主な質問は以下の通りです。
- 鉛蓄電池の化学反応式は?
- 鉛蓄電池のエネルギー効率は?
- 鉛蓄電池は何に使われている?
鉛蓄電池の化学反応式は?
鉛蓄電池の化学反応式を分かりやすくすると、下記の画像のようになります。
ここで、PbO2は酸化鉛、Pbは鉛、H2SO4は硫酸、PbSO4は硫酸鉛、2H2Oは水素と酸素からなる水です。
鉛蓄電池のエネルギー効率は?
鉛蓄電池のエネルギー効率は87%となっています。
また、その他の主要な二次電池のエネルギー効率は、NAS電池が90%、ニッケル水素電池が90%、リチウムイオン電池が95%です。
つまり、エネルギー効率という側面だけで考えると、リチウムイオン電池が二次電池の中で最も優秀でしょう。
鉛蓄電池は何に使われている?
鉛蓄電池は大量の電力を放出できる代わりに、重量とサイズが大きいのが特徴です。
そのため、自動車のバッテリーや飛行機、船舶や産業用の非常電源装置などに使われる傾向があります。
鉛蓄電池は用途が限定的!蓄電池でお悩みなら、ご相談を!
鉛蓄電池はコストパフォーマンスに優れ、安価で仕入れやすく、また大きな起電力を持っているため、大型の機械を動かすのに最適です。
しかしその反面、サイズ・重量ともに大きいため、昨今のスマートフォンやノートパソコンなどの小型精密機械とは相性が悪いでしょう。
また、鉛蓄電池の内部は希硫酸で満たされているため、破損しないように注意を払う必要があります。
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