近年、「ZEH」という住宅が注目されています。ZEHは省エネ・創エネ性能が高く、地球に優しい住宅のことです。
またZEH住宅は政府も推奨しており、多くの補助金制度が設けられています。
本記事ではZEH住宅とZEH補助金について詳しく解説していきます。
・ZEHとはどういったものなのか?
・ZEH補助金の条件や金額はどれくらい?
・ZEH住宅のメリット・デメリットは?
などをわかりやすく解説していますので気になる方はぜひ参考にしてみてください。
政府が推奨するZEH住宅
昨今、国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」が注目されています。
SDGsには17つの目標がありますが、エネルギーや住宅関連についても複数の項目が設けられており、「住宅の省エネルギー化」が求められています。
そのような中、日本では「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という政策目標を掲げました。
この目標の達成に向けて、政府主導でZEH住宅には補助金制度などが設けられており、今後続々とZEH住宅が増えてくると思われます。
そもそもZEHとは
政府はZEH住宅を推奨していますが、そもそもこの「ZEH」とはいったいどういったものなのでしょうか?
政府によると「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」と定義付けられています。
分かりやすく解説すると、「省エネで暮らしやすく、かつ太陽光発電などの再生可能エネルギーを創りだせる住宅」ということです。
ちなみにZEHは「Net Zero Energy House」の略であり、後ろに「住宅」と付けるとHouseと意味が重複してしまいますが、本記事では分かりやすいように「ZEH住宅」と呼んでいます。
ZHE補助金とは
前述の通り、政府はZEHを実現している新築住宅の増加を目指しており、ZEHを新築する方や既築住宅をZEHへ改修する方に向けて補助金を交付しています。
ZEH補助金の金額はさまざまですが、数十万〜数百万円にもなります。またZEH住宅は補助金以外のメリットも多いので、住宅を建てようと思っている方はよくチェックしておきましょう。
ここからはZEH住宅を受ける条件や種類について詳しく解説していきます。
ZEH補助金を受ける条件
ZEH補助金を受けるには主に以下の条件をクリアする必要があります。
・3つの性能条件
・建築会社がZEHビルダー・ZEHプランナーであること
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3つの性能条件
ZEH補助金を受けるにはまずその住宅が3つの性能を兼ね備えていることが求められます。
1つ目は「断熱性能」です。断熱性能とは室内に外の冷気が入ってくることを遮り、また室内の熱が漏れていかないように防ぐ性能です。
この断熱性能は「UA値(外皮平均熱貫流率)」という数値によって表され、この数値が高いほど断熱性能が高い住宅であると評価されます。
2つ目は「省エネ性能」です。エネルギー効率の良い設備を導入することで、無駄なエネルギー消費を抑える必要があります。
具体的には暖冷房設備や照明設備が当てはまり、一次エネルギーの消費量を従来よりも20%以上削減することが求められています。
3つ目は「創エネ性能」です。ZEH住宅はエネルギー消費を抑えるだけでなく、使うエネルギーを0以下にしなければなりません。そのために住宅でエネルギーを創りだす必要があります。
基本的には太陽光発電がメインとなり、そのほかにも家庭用燃料電池や蓄電池を導入することでエネルギー消費量を創エネルギーでまかなえるようにします。
建築会社がZEHビルダー・ZEHプランナーであること
ZEH補助金を受けるには性能面をクリアするだけでなく、住宅を建築するのが「ZEHビルダー」か「ZEHプランナー」である必要があります。
ZEHビルダー/ZEHプランナーとはZEH住宅を建てることを認定された建築会社のことです。
現在では4分の3以上の建築会社がZEHビルダー/ZEHプランナーに登録していますが、念のために建築を検討する際は確認しておきましょう。
ZEH補助金の種類と金額
ZEH補助金にはいくつか種類があり、それぞれ条件やもらえる金額が異なります。
・ZEH
・ZEH+
・次世代ZEH+
それぞれの違いについてよく理解しておきましょう。なお、ここで紹介するのは2021年度の情報です。2022年度もZEH補助金は継続されますが、金額などが変動する場合もあるので注意してください。
中見出し:ZEH
「ZEH」は一番基本的なもので、要件も最も満たしやすくなっています。
項目 | 内容 |
補助金額 | 60万円/戸 |
要件 | 一般的なZEHの性能を満たし、かつZEHビルダー/プランナーが建築 |
公募方式 | 先着方式 |
出典:https://sii.or.jp/moe_zeh03/uploads/zeh03_pamphlet4.pdf
中見出し:ZEH+
「ZEH+」はZEHをより高性能にしたもので、求められる性能が高い分、補助金額も大きくなっています。
項目 | 内容 |
補助金額 | 105万円/戸 |
要件 | ・ZEHの要件を満たしていること・以下の2つの要件を満たしていることⅠ.更なる省エネルギーの実現 (省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減)Ⅱ.以下の再生可能エネルギーの自家消費拡大措置のうち2つ以上を導入すること1.外皮性能の更なる強化2.高度エネルギーマネジメント3.電気自動車(PHV車を含む)を活用した自家消費の拡大措置のための充電設備又は充放電設備・ZEHビルダー/プランナーが建築していること |
公募方式 | 先着方式 |
出典:https://sii.or.jp/moe_zeh03/uploads/zeh03_pamphlet4.pdf
ZEH+はZEHに比べて追加で設備機器を導入しなければなりませんが、多くの場合購入費よりも補助金額のアップの方が高くなるので、導入する必要のある設備にかかわる費用に比べれば補助金は少なく感じますが、将来的な光熱費の削減には大い役立ちます
中見出し:次世代ZEH+
「次世代ZEH+」はZEHをより高性能化した住宅であるという点はZEH+と同様ですが、ZEH+が環境省管轄なのに対して、次世代ZEH+は経産省管轄です。そのため環境省のZEH+とは導入する機器が異なります。
項目 | 内容 |
補助金額 | 105万円/戸 |
要件 | ・ZEH+の要件を満たしていることかつ、以下のいずれか1つ以上を導入すること 1.蓄電システム2.燃料電池3.V2H充電設備(充放電設備)4.太陽熱利用温水システム |
公募方式 | 先着方式 |
出典:https://sii.or.jp/moe_zeh03/uploads/zeh03_pamphlet4.pdf
ZEH補助金の申請方法
ZEH補助金の申請は基本的に建築するZEHビルダー(ZEHプランナー)が行うので、依頼者がそこまで気にする必要はありません。
ZEHビルダーと住宅プランを相談し、プランが決定すればZEHビルダーが手続きを行います。
ただし申請しても補助金が交付されるのは実際に住宅が完成してからになります。
ZEH補助金の申請スケジュール
2021年度のZEH補助金の申請スケジュールは以下のようになっていました。
2022年度のスケジュールは2022年3月現在まだ公表されていませんが、大きく異なることはないと思われます。
ZEH・ZEH+ | 次世代ZEH+ | |
一次公募期間 | 2021年5月6日 ~ 2021年6月18日17:00必着 | 2021年5月17日 ~ 2021年8月20日 17:00必着 |
二次公募期間 | 2021年7月5日 ~ 2021年8月20日17:00必着 | 2021年8月27日 ~ 2021年11月19日 17:00必着 |
三次公募期間 | 2021年8月30日~ 2021年9月24日17:00必着 | なし |
四次公募期間 | 2021年11月29日~ 2022年1月7日17:00必着 | なし |
出典:https://sii.or.jp/moe_zeh03/uploads/zeh03_pamphlet4.pdf
ZEH補助金はいつもらえるのか?
ZEH補助金は住宅完成後すぐにもらえるわけではありません。審査なども経て実際に補助金が振り込まれるのは施工完了から2〜6か月後になります。
そのため事前に設備費用などは住宅所有者が立て替えなければなりません。いくら後から補助金が交付されるとは言え、より初期費用がかかってくるのでお金には余裕を持って建築する必要があります。
ZEH住宅のメリット
ZEH住宅には補助金が交付されること以外にも以下のような多くのメリットがあります。
・光熱費を抑えられる
・ヒートショックが起きにくい
・災害対策を行える
・資産価値が向上する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
光熱費を抑えられる
ZEH住宅は、無駄なエネルギー消費を抑える省エネ性能と消費するエネルギーを創造する創エネ性能を有しています。そのため光熱費を最小限に抑えることが可能です。
太陽光発電システムで発電した電力のうち、余った分は電力会社に買い取ってもらうこともできるので、収益が発生することします。
また電気代は年々上昇を続けており、それを以上のことを踏まえるとZEH住宅にするメリットは生涯払い続ける光熱費を最大限抑えることができますのでこのメリットはかなり大きいものになるでしょう。
ヒートショックが起きにくい
ヒートショックとは急激な温度変化によって身体に悪影響を及ぼす現象ですが、断熱性の高いZEH住宅ではそのヒートショックを予防できます。
特にZEHの場合は建築費用も高くなり、長く住む可能性も高くなりますので高齢になった時のことも考えれば予防としては大いに役立つといえるでしょう。
災害対策を行える
ZEH住宅は設備によってはエネルギーを創りだして、貯めることができます、災害時などで停電が起きた際にも日中であれば太陽光発電によって作った電気や蓄電池の中に電気を貯めておき停電時などにいつもの生活と変わらない過ごし方もできるようになります。
大きな地震がここ十数年で頻発していることや、電線を地上に出しているためにものなどが当たれば停電する可能性が高い等、日本は他の国に比べ停電のリスクが高い国です。
また地震の2次災害でエネルギー供給の役割がある設備が停止し、計画停電も怒る可能性などもありますので、ご自身のことや家族のことを考えるとこれも必要な対策になるといえるでしょう。
資産価値が向上する
2016年4月に施行された「BELS(ベルス:建築物省エネルギー性能表示制度)」という制度では省エネ性能が高い住宅ほど評価も高くなり、資産価値が向上します。
また、太陽光発電や蓄電池システム、オール電化などの住宅設備の質が高いものが付いておりますので更に資産価値は上がると見られております
ただし設備の耐用年数に大きく関係しますので注意が必要です。
もちろんZEH住宅は省エネ性能がかなり高いので、将来売却する際も高値がつく可能性があります。
ZEH住宅のデメリット
メリットの多いZEH住宅ですが、いくつかデメリットもあります。
・初期コストが高い
・デザイン・間取りに制約が生まれる
・天候によって発電量が左右される
デメリットを理解した上でZEH住宅を検討するようにしましょう。
初期コストが高い
ZEH住宅は省エネ・創エネを実現するための設備を導入しなければなりませんが、その導入に多くのコストがかかります。
上記に上げましたZEH補助金もありますが、ZEHの補助金を受けたとしても初期費用は大きいものになります。
デザイン・間取りに制約が生まれる
ZEH住宅には基本的に太陽光パネルが設置されることになります。太陽光パネルは十分なエネルギーを創り出すために屋根の形状や向きが限定される可能性があります。
基本的に屋根が曲線を帯びている場合や、北向きに屋根が流れるような作りの場合、太陽光発電のパネル反射や、発電性能が大きく影響があるため一般的な屋根の作りである必要があります。
また屋根だけでなく、省エネのために部屋の間取りにも制約が出てくる場合もあります。
天候によって発電量が左右される
ZEH住宅が創り出すエネルギーの要となる太陽光発電ですが、太陽光を利用しているので天候によって発電量が左右されます。
特に梅雨や冬の時期は日射量が少ないため発電量が減少することを理解しておきましょう。
ただし現在では紫外線でも発電をする太陽光発電なども開発されておりますので導入を検討する際は1つの知識として持っておいても損はないでしょう。
ZEHの補助金制度をうまく活用しよう!
ZEH住宅は政府も複数の補助金制度を用意するほど推奨しており、今後はZEH住宅が当たり前の世界になりつつあります。
また補助金以外にも多くのメリットがあり、長年住んでいく家としても頼れるものになります。
ZEH住宅には導入コストも多くかかるので、補助金制度をうまく活用してお得に住みやすい住宅を手に入れましょう。
※新日本エネックスはZEH補助金を取り扱っていません。