電力需給のひっぱくやそれに伴う電力会社の値上げによって、蓄電池の導入を検討する家庭が急増しています。
もっとも「どのくらいの期間使えるのか?」「寿命についてあらかじめ把握しておきたい」などお考えの方も多いでしょう。
特に蓄電池をせっかく導入したにもかかわらず、すぐに使えなくなってしまうのではと不安を抱いている人も多いです。
そこで今回は、次の4点について詳しく解説します。
- 寿命に関する基礎知識
- 寿命を迎えるとどうなる?
- 長く使うためのコツ
- 寿命の長い蓄電池を選ぶポイント
蓄電池導入にあたっての参考にしていただけたら幸いです。
蓄電池の寿命に関する基礎知識
まずは蓄電池の寿命に関して、基礎的な知識を解説していきます。
蓄電池の寿命を知りたいときは必ず製品メーカー、販売元に確認!
一般的に家庭用の蓄電池は現在おおよそ10年から~30年前後持つともいわれております。
ただし一概に蓄電池の寿命は何年ぐらい持つ。というのは言い切れません
これはメーカーによって製造方法、使用している蓄電池の種類が違うからです。また蓄電池と言ってもリチウムイオン電池や鉛電池などの大きなジャンルに分けられており、リチウムイオン電池でも半固体電池や全個体電池などが存在し、また寿命もそれぞれ違います。
法定耐用年数は6年!
検索エンジンなどで「蓄電池 寿命」に関して調べると、法定耐用年数が6年と表示されることがあります。
高い費用が必要であるにもかかわらず、法定耐用年数が6年はかなり短いのではと思った方も多いのではないでしょうか?
しかし心配は無用です。
そもそもこの耐用年数は、国税庁が定めた「税法」上のものであり、減価償却資産のために定められているものになります。
参考:第2節 建物附属設備|国税庁
そのため6年を過ぎても蓄電池は問題なく使うことができます。
メーカーやタイプによって耐用年数は大きく異なりますが、少なくとも15~30年前後が一般的な寿命です。
サイクル数でみると蓄電池の寿命は最大約30年前後
蓄電池の寿命には、サイクルというのも大きく関わってきます。
例えば、私たちの日常生活に欠かすことのできない「スマートフォン・タブレット端末」などは、充電と使用による放電を繰り返すとバッテリーが劣化してしまいます。
実際に長い間使っているスマートフォンやタブレット端末などが、購入当初に比べると充電してもすぐにバッテリー切れになってしまうのを経験した人も多いのではないでしょうか?
これは蓄電池にも当てはまることであり、充電と放電を1サイクルとして、これを何度も繰り返すと最終的に寿命を迎え容量などが著しく減ってしまうのです。
また現在発売されている家庭用蓄電池のサイクル数は数値が高いもので12000サイクルがありますがこれを365日で割ると、およそ32年間利用できる計算になります。
また一般家庭用の蓄電池にもサイクル数には幅が大きくありますのでなるべく長くご利用されたいご家庭様はサイクル数を参考にするのも一つの手です。ただしサイクル数は電気の使い方によって減ったり増えたりしますのでご注意ください。
そのため寿命=サイクルといっても過言ではなく、購入の際にはこのサイクル数がどれくらいかというのも着目すべきポイントになります。
メーカー保証が1つの目安
蓄電池の寿命に関しては、メーカー保証を1つの目安とするという考え方もあります。
例えば、次の表は蓄電池を販売しているメーカーと保証期間をまとめたものです。
メーカー名 | 保証期間 |
パナソニック | ・蓄電池ユニット15年・蓄電池容量15年. |
シャープ | ・蓄電池ユニット15年・蓄電池容量15年 |
ニチコン | ・蓄電池ユニット15年・蓄電池容量15年 |
オムロン | ・システム保証15年 ・蓄電池容量15年 |
(※なお製品ごとに保証期間やサービスは異なります。メーカーや機種ごとの寿命・特徴について知りたい方は、ぜひ新日本エネックスへお問合せください)
このようにメーカーの定めている保証期間は10~15年、長いと20年前後になるものもあります。(※有償保証含む)
保証期間内に蓄電容量が規定を下回った場合、無料で修理対応をしてくれるメーカーもあるので、保証期間をある程度寿命と想定するのも良いでしょう。
蓄電池おすすめメーカー15選|最適の選び方やお得な購入法を解説
蓄電池の種類によって寿命が異なる
実は蓄電池にはいくつか種類があり、それぞれ寿命が異なります。
主な蓄電池の種類や寿命、簡単な特徴について以下に表としてまとめました。
鉛蓄電池 | リチウムイオン電池 | NAS電池 | ニッケル水素電池 | |
主な使用用途 | ・車用電池・フォークリフトなどの産業機械用電池 | ・ノートパソコン・スマートフォン | ・大規模発電施設・工業用機械のバックアップ電源 | ・乾電池・ハイブリッドカーなどの車用バッテリー |
充電サイクル・寿命 | ・3000~4500回・15~20年 | ・4000回・約10~15年 | ・4500回・約15年 | ・2000回・約5~7年 |
特徴 | ・価格が安い・安定性がある | ・日常生活で最も使われている蓄電池・家庭用蓄電池に使われていることが多い | ・メガワット級の電力貯蔵ができる・風力発電など大規模な発電施設で使われている | ・ エネルギー密度が高い・過充電に強い・過放電に強い |
参考:蓄電池産業戦略検討官民協議会|経済産業省
このように蓄電池の種類によって、寿命は大きく異なります。
↓蓄電池の種類や特徴について詳しくはこちら!
蓄電池は寿命を迎えるとどうなるのか
蓄電池は寿命を迎えるとどうなるのでしょうか。
以下で詳しく見ていきましょう。
最大容量が減ってしまう
上記でも少し触れたように、スマートフォンやタブレット端末が充電と放電を繰り返してバッテリーの使用時間が短くなるように、蓄電池も最大容量が減ってしまいます。
例えば、4~5時間近く使えていた蓄電池が、寿命を迎えることによって2~3時間しか使えなくなってしまうなど使用するにあたって大きな影響を受ける場合も。
寿命を迎えても使用する分には問題ない
寿命を迎えても突然蓄電池が使えなくなってしまうということはありません。
最大容量が減ってしまうことで、最大使用可能時間は減ってしまいますが、通常通り使う分には支障はないのが一般的です。
ただメーカー保証期間を大幅に超えて使っている場合、何かしらの不具合が出る可能性もあるので注意してください。
保証期間を迎えたら新しい蓄電池に交換することを検討しましょう。
保証期間であれば無料で交換も可能
メーカーの保証期間内であれば、無料で交換してもらえる場合もあります。
以下にそれぞれのメーカーがどのような対応をしているのか、簡単にまとめたので参考にしてください。
メーカー名 | 保証期間内の対応 |
パナソニック | ・保証期間内に製造上の不具合、蓄電容量が規定値以下になった場合無料で修理対応 |
シャープ | ・保証期間内に蓄電容量が規定を下回った場合は無料修理対応 |
ニチコン | ・保証期間内に蓄電容量が規定を下回った場合は無料交換対応 |
オムロン | ・保証期間内に蓄電容量が規定を下回った場合は無料修理対応 |
(※なお製品ごとに保証期間やサービスは異なります。メーカーや機種ごとの保証対応について知りたい方は、ぜひ新日本エネックスへお問合せください)
蓄電池の寿命を伸ばすための5つのコツ
実は蓄電池は使い方によって寿命をある程度伸ばすことができます。
そこでここでは蓄電池の寿命を伸ばすための5つのコツについてみていきましょう。
過充電や過放電しないようにする
できるだけ過充電や過放電は避けましょう。
家庭用蓄電池に使われているのは、スマートフォンやタブレット端末のバッテリーに使われていることが多い「リチウムイオン電池」です。
この電池は過充電や過放電すると、容量が減ってしまうだけではなく発火や破裂などのトラブルを招く危険があります。
もっとも最近の電池には、過充電や過放電を防ぐ技術が用いられているので安心です。
しかし古いものの場合、こういった技術が使われておらず過充電や過放電で寿命が著しく減ってしまう場合もあるので注意してください。
設置スペースに注意する
できるだけ長く使うためには、設置スペースに注意する必要があります。
温度があまりにも高かったり低かったりすると、蓄電池の寿命に大きな影響を及ぼす場合も。
特に夏や冬に温度変化が激しい地方では、どこに置くのか設置スペースを吟味する必要があるでしょう。
室内に設置する
直射日光や雨・雪などによる著しい温度変化を避けるために、室内に設置するというのも1つの方法として有効です。
例えば、メーカーの取扱説明書には直射日光を避けて置くように注意が促されている蓄電池も存在します。
地域や立地によってはどうしても設置条件を満たすことができずに、室内に設置をしたほうが良い場合もあるでしょう。
メーカーや業者と相談しながら、室内も含めて最適の設置場所を見つけるのができるだけ長く使うためのコツになります。
以下に蓄電池の寿命に影響する環境についてまとめたので、こちらも合わせて参考にしてください。
蓄電池に影響を与える環境 | 注意しなければいけないこと |
塩害 | 塩害地域・重塩害地域は必ず対応のものを選ぶ |
積雪 | 積雪により性能劣化するので、豪雪地域は軒下・室内設置を推奨 |
可燃物 | 発火する可能性があるので可燃物は近くに置かない |
降雨 | 室内用は雨で故障するため室外の設置は不可 |
日射 | 直射日光が当たって高温になり動作が止まる可能性がある |
換気 | 室内の場合定期的な換気が必要 |
充電や使用方法はメーカー推奨の方法で
蓄電池はそれぞれメーカー推奨の方法で充電するように定められています。
充電する際の電圧などによっては、蓄電池に大きな負荷を与えてしまい寿命が短くなってしまう可能性もあるので注意してください。
充電は必ず取扱説明書やマニュアルにある方法を「厳守」しましょう。
また運転モードの設定によっては充放電をなるべくひかえるモード当もありますので説明書を確認するか販売元に聞いてみるのもよいでしょう。
太陽光発電との併用は要注意
蓄電池と太陽光発電を併用する際には、機器同士の相性や対応しているメーカーのものか確認しましょう。
蓄電池はメーカや種類によって、太陽光発電設備に対応しているかやパワーコンディショナーのメーカーが異なります。
対応していないもの同士を使ってしまうと、一見正常に使えているように見えても、みえないところで不具合が生じて寿命が短くなってしまっている場合も。
また対応していないメーカー同士を併用して使うと、保証の対象外になることがほとんどです。
ご自宅の太陽光設備と蓄電池が対応しているかどうかはかなり分かりにくいので、導入前に専門の業者に相談して必ず確認するようにしてください。
太陽光発電は蓄電池との相性が最高!メリット・デメリットを解説
寿命の長い蓄電池を選ぶポイント
ここでは寿命の長い蓄電池を選ぶポイントについて解説します。
最適容量でサイクル数が多い蓄電池を選ぶ
蓄電池は最適の容量のものを選びましょう。
確かに容量が大きければ大きいほど、充電サイクルも多く寿命が長いのが一般的です。
しかしご家庭に合わない容量のものを選ぶと、過充電や過放電などに繋がり結果的に寿命が短くなってしまいます。
あらかじめ以下のような要素を調べておき、最適な容量を選びましょう。
- 蓄電池で補いたい電力量
- 必要な容量
- 月間の電気使用量(日中・夜それぞれ調べる)
保証内容から選ぶ
保証している蓄電池を選べば、何かあったときにも安心です。
長期間毎日のように使う蓄電池は、いつどんなトラブルが起こるかわかりません。
少し費用がかさんだとしても、保証内容が充実している蓄電池を導入すれば、故障したとしても修理して長く使うことが可能です。
蓄電池は高価なものであるため、保証にお金をかけたくない人も多いですが、長期的な目線で見ると得をすることがほとんどであるため必ず保証内容はチェックしましょう。
特に自然災害保証は日本に住むうえで確認を欠かせません。
ライフスタイル、住宅にあった蓄電池を選ぶ
ライフスタイルや住宅にあった蓄電池を選ぶのも、できるだけ長く使い続けるためのポイントになります。
- 太陽光発電が導入済みもしくは導入予定があるか
- オール電化か
- 電気を使う量が多いのは、電気代の高い昼もしくは安い夜間か
- お住まいの地域の年間を通じた環境や気候など
こういった点をあらかじめ考慮して、蓄電池を選ぶことで、そのご家庭に最適のものを導入することができます。
↓蓄電池を導入しての失敗例はこちら!
寿命の長い蓄電池をお探しなら新日本エネックスがおすすめ
今回紹介したように、事前に知っておくと蓄電池の寿命をある程度伸ばすことのできるコツというのはいくつか存在します。
もっとも蓄電池に詳しくない一般の人では、コツを実践したり、寿命の長い蓄電池を選ぶというのは難しいです。
新日本エネックスでは、寿命の長い蓄電池のご紹介からできるだけ長く使うためのコツまで、蓄電池の寿命に関しての疑問や気になる点をご家庭様毎にお応えしています。
蓄電池の導入を検討している方や、今お使いの太陽光発電設備と蓄電池を併用できるか知りたい方はぜひ1度お問合せください。