太陽光発電や蓄電池に加えて電気自動車のエネルギーにも活用できる「トライブリッド」が気になっている人は多いのではないでしょうか?
太陽光発電や蓄電池のみの「ハイブリッド蓄電システム」では、蓄電した電力を自宅の家電製品に活用することはできても、電気自動車にまで利用することはできませんでした。ですがトライブリッドであれば電気自動車に活用することができます。
そこで今回の記事ではトライブリッドに関して、以下の内容を解説します。
- トライブリッドとは?
- トライブリッドのメリット・デメリット
- おすすめのトライブリッド蓄電システム
- トライブリッドで失敗しないポイント
- トライブリッドがおすすめな人
トライブリッドについて詳細に解説していますので、導入を検討している人は参考にしてみてください。
トライブリッドとは?
トライブリッドとは「太陽光発電・蓄電池・V2H」に必要なパワーコンディショナーを一体化させた「トライブリッド蓄電システム」です。太陽光発電で電気を作り自宅の電化製品に使用する、蓄電池に貯めることで停電時に活用する、V2Hを通じて電気自動車に電力を供給するなどの環境を作ることができます。またV2Hがあれば電気自動車の電力を貯めることができ、停電時などに使うことができるため便利です。
トライブリッドを最大限に活かすため必要なものは太陽光パネルの他にパワーコンディショナー、蓄電池、V2Hスタンドが必要になります。仕組みとともに解説していきます。
太陽光パネル
太陽光パネルは太陽光発電で電気を作るために必要になります。作られた電気を自宅の家電製品に使用したり蓄電池に貯めることが可能で、電気料金の高い昼間に使用するなど節電効果を生み出してくれます。
トライブリッドパワーコンディショナー
トライブリッドパワーコンディショナーは太陽光発電や蓄電池などを制御や連携させるために必要です。各種機器の直流電流を交換電流に変換してくれ、それぞれの機器で使用することができます。
蓄電池
蓄電池は太陽光発電の電気を貯めるために必要です。電気を貯めておくことで電気料金が高くなる昼間のピーク時に利用したり、停電時のバックアップとして活用することができます。
V2Hスタンド
V2Hスタンドは作られた電気を電気自動車へ充電したり、電気自動車の蓄電池から電気を使用できるようにするために必要になります。出力が高いため充電時間を短縮させることが可能です。
トライブリッドのメリット
トライブリッドには以下のようなメリットがあります。
電気ロスが少ない
専用のパワーコンディショナーが1台あれば全ての制御や連携が可能なため、電気の変換効率が高くなります。従来は「太陽光発電・蓄電池・V2H」用に、それぞれパワーコンディショナーを用意する必要がありました。設置機器が多くなるほど充放電の際に変換効率が下がってしまうため、発電した電気を最大限に活かしきれません。トライブリッドのシステムが販売されたことで、より効率よく電気を活用できるようになりました。
太陽光発電や電気自動車との相性が良い
太陽光発電を活用することで最大限の効果を発揮します。太陽光発電の電力を蓄電池に貯めておけば、悪天候や昼夜問わず使用することが可能です。またV2Hを活用すれば電気自動車への充電や給電が行えるため、電気自動車との相性も良いといえます。
状況に応じて増設できる
トライブリッドで使用する蓄電池は増設することができます。導入しようとしている時の自宅で使用する電力量が少ない場合は、蓄電容量の少ない蓄電池を選択したほうが経済的です。導入後に使用状況が多くなった場合でも、同じ蓄電容量の蓄電池を追加することで大容量の蓄電をすることができます。状況に応じて蓄電容量を変更できる柔軟さは魅力です。
節電効果が高くなる
自然エネルギーである太陽光を活用することで節電効果が高くなります。安い深夜料金を蓄電して活用するという方法もありますが、多用する場合は安いとはいえ電気代がかさんでいきます。蓄電池に蓄電することで電気料金が高い昼間に使用することや、余剰電力を売電して収入を得ることが可能です。また電気自動車への充電も太陽光発電で作られた電気を活用できるため、より経済的な恩恵が得られるようになります。
停電時に活躍する
トライブリッドは停電時に強いシステムと言えます。停電時には蓄電池に貯めた電気を使用して家電製品の電力を補うことができます。ですが蓄電池の蓄電が十分にされていなかったり、なくなった場合は不安になります。ですがトライブリッドを導入することで、V2H経由で電気自動車の蓄電池から電気を補うことができます。停電が長引いてしまった場合に自宅と電気自動車の二つの蓄電池から電気を確保できるため、太陽光発電と蓄電池のみのハイブリッド蓄電システムより活躍できるといえます。
トライブリッドのデメリット
トライブリッドには以下のようなデメリットがあります。
初期費用が高い
トライブリッドは「パワーコンディショナー・蓄電池・V2H」などが含まれているものの、太陽光パネルは別途必要になります。太陽光発電をすでに導入している人はトライブリッドの費用だけで済みますが、導入していない場合は太陽光パネルも購入しなければいけないため初期費用が高額になります。ただし後ほど解説する「補助金」を活用すれば初期費用を通常より抑えることが可能です。
選択できるメーカーが少ない
現状でトライブリッドを販売しているメーカーは「ニチコン」のみとなっているため、他社との比較ができない状況です。ただしニチコンはトライブリッドを生み出した企業であり、システムの信頼性や効果はお墨付きです。逆に考えればトライブリッドは「ニチコンのシステムを導入しておけば事足りる」ということでもあり悩む時間は減るでしょう。
おすすめは「ニチコン」のトライブリッド蓄電システム
トライブリッドは「ニチコン」がおすすめです。というのも世界で初めて開発し販売したのはニチコンだからです。1950年創業という半世紀以上続く大企業で東証プライムに上場しています。過去には家庭用蓄電池の累計生産台数が世界一になったこともある実績ある老舗メーカーです。
サステナビリティ(持続可能性)を重視しており、製品を通した地球環境保護や顧客や社員への幸福を目指すなど企業として取り組んでいます。環境問題への取り組み例としては、2010年からは「NECST事業本部」を発足し家庭用蓄電池や「V2H(後述)」の開発や販売など環境関連事業を展開しています。
そんなニチコンが生み出したトライブリッドの特徴や製品を見ていきましょう。
3つの運転モードで使い分けできる
トライブリッドでは「グリーン・EV・売電」という三つのモードがあります。
グリーンモード:太陽光発電で得た余剰電力を蓄電池と電気自動車に分配するモードです。電気料金の高い日中のピーク時に太陽光発電の電力を使用しつつ、余剰電力を蓄電池と電気自動車へ貯めることができます。日中の電力会社から購入する電気を最小限に抑えて経済的に電力を補うことが可能です。
EVモード:太陽光発電で得た余剰電力を全て電気自動車に充電するモードです。電気自動車の充電がなくなり家にいる時間帯に効率よく充電させることができます。またEVモードのまま外出した際は自動的に蓄電池に充電するように切り替わり、帰宅後に電気自動車につなげることで自動的に充電できます。電気自動車の充電を優先的に行いたいときに活躍します。
売電モード:日中のピーク時の電力は太陽光発電で補いつつ、余剰電力を全て売電するモードです。蓄電池へ貯める電力は料金の安い深夜電力を活用することで、より効果的に節電することができます。また太陽光発電のみの余剰電力を売電する「押し上げ効果なし」に対応しており、安い深夜電力を貯めた蓄電池の電気を売電せずに済むため売電効果が上がります。
3つの無料サービスで安心できる
ニチコンには「見守りサービス・気象警報 早期注意情報自動制御・AI自動制御」という三つの無料サービスがあります。
見守りサービス:蓄電池の運転状況を365日24時間ネットワークで監視してくれるサービスです。何かしらのトラブルがあれば、すぐに検知してくれるため対処が迅速に行えます。またネットワークを活用することで、アップデートされたソフトウェアやサービスを自動で提供してくれるため手間もかかりません。
気象警報 早期注意情報自動制御:気象庁から発表される気象警報や注意情報を事前に把握することで停電に備えてくれるサービスです。気象警報の場合は発表後すぐ蓄電池に充電し、注意報の場合は割安な夜間電力を活用して充電するように指示が出ます。常にネットワーク経由で迅速な停電対策が可能です。対応している警報や注意情報は以下の通りです。
- 警報:大雨・洪水・暴風・暴風雪・大雪・高潮(波浪は除く)
- 特別警報:大雨・暴風・暴風雪・大雪・高潮(波浪は除く)
- 早期注意情報(高)
ライフスタイルに合わせて最適な組み合わせができる
トライブリッドはライフスタイルに合わせて組み合わせたり増設することができます。例えば太陽光発電をすでに導入しており「発電した電力を貯めて節電効果アップや停電時に活用したい」ということであれば蓄電池をプラスすることができます。太陽光発電と蓄電池1台を導入しており「電力使用量が増えたから蓄電量を増やしたい」ということであれば蓄電池をもう1台増設することができます。
さらに「電気自動車を購入するため節電したい」「電気自動車の電力を有効活用したい」ということであれば、V2Hを追加することでトライブリッドの恩恵をフルに得ることができます。このようにトライブリッドは目的や状況が変化した際に、臨機応変に組み合わせることができるため自由度が高いシステムといえます。
トライブリッドパワーコンディショナーの性能・価格・保証期間
トライブリッドパワーコンディショナーは「太陽光発電・蓄電池・V2H」を1台で制御や連携させることができるため、変換効率が高くなっています。従来は太陽光発電で1台、蓄電池で1台、V2Hで1台と、それぞれに合うパワーコンディショナーが必要でした。設置機器が多いほど変換効率は低くなるため、1台で全て制御と連携できるためロスなく電力を活用できます。さらにニチコンで使用されているものは「連系出力5.9W+自立出力5.9W」と高出力であり、全負荷200Vにも対応しているため停電時でもエアコンなどの200V機器でも安心して利用できます。
最新モデル「ESS-T3シリーズ トライブリッドパワーコンディショナー」の性能・価格・保証期間は以下のとおりです。
型番 | ES-T3 |
サイズ | 幅685mm × 高さ648mm × 奥行き239mm |
重量 | 約44kg |
系統連系出力 | 5.9W |
定格出力電圧(系統連系出力) | AC202 V±12V |
変換効率(系統連系時・放電時) | 太陽光:95% 蓄電池:94% EV:91% |
自立出力 | 5.9W |
定格出力電圧(自立出力) | AC202 V±12V/AC101 V±6V |
動作温度 | -20℃~+40℃ |
希望小売価格(税抜) | 1,200,000円 |
保証期間 | 15年 |
蓄電池・増設ユニットの性能・価格・保証期間
トライブリッドで使用される蓄電池は「4.9kWh・7.4kWh」という二つの容量を選択することができます。さらに2台まで増設することができるため、上記の蓄電容量に加えて「9.9kWh・14.9kWh」という容量も選択が可能です。蓄電池としてのサイズは業界最小レベルのコンパクトさであり、屋内や屋外(屋外はオプション)の設置スペースに困ることはないでしょう。デザイン性も高くスッキリしているのもポイントです。
最新モデル「ESS-T3シリーズ 蓄電池ユニット/増設ユニット」の性能・価格・保証期間は以下のとおりです。
【ES-T3S1/ES-T3L1】
型番 | ES-T3S1(蓄電池ユニット)/ES-T3L1(増設ユニット) |
サイズ | 幅540mm × 高さ418mm × 奥行き230mm |
重量 | 約50kg |
蓄電容量 | 4.9kWh(増設時9.9kWh) |
蓄電池定格電圧 | 202.7V |
動作温度 | -10℃~+40℃ |
希望小売価格(税抜) | 1,200,000円 |
保証期間 | 15年 |
【ES-T3M1/ES-T3X1】
型番 | ES-T3M1(蓄電池ユニット)/ES-T3X1(増設ユニット) |
サイズ | 幅540mm × 高さ418mm × 奥行き230mm |
重量 | 約61kg |
蓄電容量 | 7.4kWh(増設時14.9kWh) |
蓄電池定格電圧 | 202.7V |
動作温度 | -10℃~+40℃ |
希望小売価格(税抜) | 1,700,000円 |
保証期間 | 15年 |
V2Hスタンドの性能・価格・保証期間
トライブリッドのV2Hスタンドは「セパレート型・一体型」の二つがあります。セパレート型ではコンパクトなV2Hポッドが付いており、左右どちらからでもコネクタが挿せるため便利です。一体型は正面から見て右側にコネクタが付いており、V2Hポッドがないためスッキリしています。また通常は放電部の出力が5.9kWですが、太陽光発電や蓄電池などを活用して拡張充電することで9.9kWまで増やすことができます。電気自動車を効率よく充電するために最適な環境が手に入るでしょう。
【セパレート型】
型番 | ES-T3P1(V2Hスタンド)/ES-T3PL1(V2Hポッド) |
サイズ | 幅520mm × 高さ1,180mm × 奥行き260mm |
重量 | V2Hスタンド:約61kg V2Hポッド(3.5m):約6.8kgV2Hポッド(7.5m):約8.7kg |
ケーブル長 | 3.5m 7.5m |
充電部定格電圧(系統連系時) | AC202V ± 12V |
充電部定格電力(系統連系時) | 6kW未満 |
放電部定格電圧(系統連系時) | AC202V ± 12V |
放電部定格電力(系統連系時) | 5.9kW |
希望小売価格(税抜) | 1,500,000円 1,600,000円 |
保証期間 | 15年 |
【一体型】
型番 | ES-T3V1 |
サイズ | 幅520mm × 高さ1,180mm × 奥行き260mm |
重量 | 約69kg |
ケーブル長 | 7.5m |
充電部定格電圧(系統連系時) | AC202V ± 12V |
充電部定格電力(系統連系時) | 6kW未満 |
放電部定格電圧(系統連系時) | AC202V ± 12V |
放電部定格電力(系統連系時) | 5.9kW |
希望小売価格(税抜) | 1,300,000円 |
保証期間 | 15年 |
トライブリッドで失敗しないためのポイント
ニチコンのトライブリッドを導入して失敗しないためのポイントを解説します。
現状の電気料金などを把握をする
過去1年分の電気料金や電気使用量などの数字を把握しておきましょう。短期間では季節要因やライフスタイルの変化による変動があるため、年間を通して調べることで本当に導入すべきなのかが判断しやすくなります。
自身の環境に合った容量を選択する
現状把握を行ったあとは、どんな容量の蓄電池を選べば良いのかを検討しましょう。トライブリッドでは手始めに容量の小さい1台を導入しておき、ライフスタイルの変化などで物足りなくなってきたら増設することができます。容量は4.9kWhと7.4kWhがありますが大きさは変わらずコンパクトです。ただし価格差がありますので、よく検討して必要な容量を選択してください。
対応している電気自動車を知っておく
トライブリッドのV2Hは対応車種が指定されていますので、事前に最新の対応車種情報を確認したり販売店に聞くなどしておきましょう。ソフトウェアのバージョン次第では対応車種に記載されていても接続できないことがあるため、ニチコンに問い合わせて聞くのが良いかもしれません。
補助金でお得に導入する
トライブリッドを導入するには高額の初期費用が発生しますので、補助金を活用することをおすすめします。数十万円〜数百万円の金銭的負担を減らせる可能性があります。補助金は国や地方自治体によって、さまざまな種類があります。種類によって補助金額や申請条件が異なるため、販売店などの業者に確認しておくといいでしょう。
トライブリッドがおすすめな人
トライブリッド導入がおすすめな人を解説します。
太陽光発電の導入を検討または導入している人
トライブリッドは太陽光発電との相性が良いため、太陽光発電を導入している人におすすめです。太陽光発電の電力を蓄電池に蓄えてピーク時に使用したり電気自動車の充電に利用できたりと、電力を余すことなく活用できます。また太陽光発電の導入を検討している人にも、太陽光パネルと同時に導入することで節電効果アップなどの恩恵を得られるためおすすめです。
電気自動車を持っている人
普段から電気自動車に乗る回数が多い人におすすめです。太陽光発電からの電力を電気自動車へ充電できたり、電気自動車に蓄電されている電力を放電することができます。電気自動車の電気料金が気になるのであれば、トライブリッドの活用で節電が可能です。これから電気自動車を購入する予定の人にもおすすめできます。
少しでも節電したい人
少しでも節電効果をアップさせたい人におすすめです。太陽光発電で得た電力を蓄電池に貯めて電気料金の高い日中に利用すれば、料金が高い時間帯の電気使用量を減らすことができます。また安い深夜電力を蓄電池に蓄えて日中に使用することで節電が可能です。電気自動車も太陽光発電の余剰電力や安い深夜電力で充電すれば、より節電効果がアップします。
停電や災害時にも安心して電気を使いたい人
いざというときの停電時に備えたいという人におすすめです。停電時には蓄電池の電力を活用することができるため、普段と変わりなく電化製品を使用することができます。また蓄電池の電力が少なくても電気自動車から補うことができるため、バックアップとしての機能を持たせることも可能ですから安心です。
まとめ
トライブリッドは「太陽光発電・蓄電池・V2H」を一つのパワーコンディショナーで制御させて、電力を余すことなく活用できるシステムです。家庭用蓄電池で世界一のシェアを取ったこともあるニチコンによって開発・販売されています。東証プライムにも上場しており、企業としての母体が大きく実績も確かなため信頼できる製品です。
状況に応じて蓄電池を増設することができるため、ライフスタイルなどに合わせて段階的に導入することが可能です。トライブリッドは節電効果がアップしたり、停電時の対策になるなどのメリットがあります。一方で初期費用は高くなりがちですが、補助金を活用することで金額を抑えて導入することができます。
太陽光発電や電気自動車を持っている人や購入を検討している人、節電効果をアップさせたい人、停電時の対策を考えている人にはおすすめできるシステムです。ぜひ検討してみてください。